男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

爆音映画祭で『キック・アス』を観てきました

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今年で四回目を迎える爆音映画祭。ライブ用の大出力スピーカーを使っての大音量による映画の上映です。

以前から気になっていたのですが、今回『キック・アス』が上映されると知って、遂に吉祥寺まで観に行って(聴きに行って)きました。

自分のマンションはちょっと特殊な形状をしていて、リビングと寝室がどの部屋とも隣接していない独立構造になっている。窓もかなりの防音性を持っており、そこに雨戸を下ろしたらもうかなりの防音室と化す。なので以前試しに『キック・アス』のアメリカ盤ブルーレイ(DTS-HD7.1ch)を、平日の昼間に自前のアンプの目盛りが全開になるような大音量で観たこと(聴いたこと)がありました。その時の迫力はもう「無茶苦茶」すごくて、本当に家を建てるような事があれば地下室でホームシアターを作ることを決意するほどでした。

なので、この爆音映画祭という映画祭の主旨はかなり「共感」できるものです。

という訳で今日観てきた(聴いてきた)のですが、正直いうと「思ったほどじゃない」でした。勿論銃撃戦のパートなどはそれはもうド迫力で、低音の効いた「音圧」は巨大スピーカーと劇場というシステムによってとてもホームシアターでは味わえない類の興奮が味わえました。

ところが妻も感じていたのですが、「音楽」と「銃撃戦の音」はやたらとでかくて迫力があるのだけど、肝心の効果音やセリフなどなどの音声がそれにくらべて小さすぎるように感じました。

これは推測なのですが、元来フィルムに記録された音声はドルビーデジタルの5.1ch音声だと思うので、それを2chによる再生にする際の調整でああなってしまったのではないかと。単純にセンタースピーカーに割り振られているはずの「セリフ」などの音声が放ったらかしになっている印象なのです。それはリアに配置されているはずの細かい効果音にも言えます。

キューブリックが自分の映画の音声にマトリックスによるマルチチャンネルを使わなかった理由として、「自分で制御できないから」というのがあり、『2001年宇宙の旅』(これは4chマルチトラックでの収録で、マトリックスではない)と、ディスクリートのマルチチャンネルであるドルビーデジタルが普及してからの『アイズ・ワイド・シャット』以外の作品がすべてモノラル音声だったことを思い出しました。

もちろんそんな固いこといいっこなしなのは分かるのですが、やはりここは「ライブ用の巨大スピーカーを5つ用意すべき」だったのではないかと思います。もちろんそんなことはほぼ不可能ですが、そうでないとマルチチャンネルを製作者の意図を尊重した状態で爆音にするのは難しいのではないでしょうか。

まあ、実際にはどういう調整が行われているのかが分からないのでハッキリはしないんですけど、単純に音声の成分が薄くなってしまっているという印象でした。


と、ここまで批判的に書いておいてアレなんですが、本当にヒットガールがビッグダディキック・アスを救出に現れるシークエンスの「いよいよ感」は低音の効きによってとんでもない事になってましたし、閉所空間による硬質な銃撃戦のサウンドも凄まじいものでした。そこから続く廊下の銃撃戦も、『Bad Reputation』のド迫力と、リズムの権化とも言うべき効果音のビートが生み出す高揚感は相当なモノでした。あれは観に来てよかったと痛感させる満足度でした。


ただ、Tジョイで体験したDCP上映のクオリティが高すぎて今回のボロいフィルム上映(本当に質の悪いフィルムですよ)はあまりにも物足りない。

結局、ドリパスが主催して、改めてTジョイなりのデジタル上映可能な劇場で、DCPによる爆音上映をして欲しいところです。ドリパスは現在シネコンとの連動で様々な映画をデジタルで爆音上映しているのですから、ぜひとも『キック・アス』もそちらで企画して欲しい。