男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『街角 桃色(ピンク)の店』★★★

ジェームズ・スチュワートが最高

『ユー・ガット・メール』の元ネタになったルビッチ監督の『街角 桃色(ピンク)の店』を早速観ました。TSUTAYAに置いてないなあと思ってDVDショップに行ったら、なんと280円で売ってました。1940年の映画だから著作権フリーなのか。しかし、安い。レンタル代よりも安いじゃないか。

著作権フリーだけに、冒頭のMGMのロゴはタイトルのスチールに差し替えられていましたが、本編は特に問題なく観られました。画質も昔の映画ということを考えればまずまず良かった。VHSをそのままDVDにしたような商品もあるので、これは全然ましな部類です。

で、作品なんですが、オリジナルのこちらもかなり素晴らしかった。ルビッチの映画は『生きるべきか死ぬべきか』ぐらいしか観ていないんですが、さすがビリー・ワイルダーの師匠だけあって要所要所の演出やシナリオの組み立て方が上手い。

主人公を演じるジェームズ・スチュワートが大変素晴らしくて、外見が藤子・F・不二雄先生にクリソツなのを差し引いてもかなり魅力的。トム・ハンクスは現代のジェームズ・スチュワート的な役割をかなり自覚しているようで、自分の芝居を守りながら、キチンとオリジナルの芝居も意識しているようです。

『ユー・ガット・メール』では、観客にお互いの正体は明かされて話が進むのがコメディ要素として機能していますが、オリジナルは文通を使った交際相手が実はという構造になっています(まあ、普通に観ていたら分かるようにはなってるので、驚かすのが主眼ではない)。『ユー・ガット・メール』でもそのまま再現されていた中盤のカフェのシーンなども、「出会った男女がいがみ合っているが、フとしたきっかけでお互いを意識し始める」というロマンチック・コメディのパターンが効果的。背中合わせに座る演出とか、そりゃそのまま使うよなというビジュアル的演出が上手い。

あと、クライマックスのクリスマス・イヴのシーンで、あまりにも優しく降る雪がむちゃくちゃ良い! あれ最高でした。

ラストもオリジナルは昔の映画らしく、スパっと終わるのも気持ちがいい。小道具の使い方も抜群に上手いし。

それと、『ユー・ガット・メール』の感想で、音楽のつけ方が昔の映画みたいと書いたんですけど、なんとオリジナルでは音楽は冒頭とエンドマーク以外まったく使われていません。あれは凄かったな。あれがルビッチの意図したものなのかどうかは分かりませんが、舞台を観ているような生々しさがありましたよ。

そのくせ、ジェームズ・スチュワートのニヤリという顔にドリーでアップしにいったり、手紙の秘書箱に移動で寄っていくと、空の郵便箱をまさぐる彼女の手がアップになったり、時折ドキっとするようなモダンな演出が入ってくるのも面白い。

ルビッチの唯一のカラー映画である『天国は待ってくれる』も借りてきたので、こちらも観てみよう。