『ぼくのエリ』DVDレビュー
ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]
アミューズソフトエンタテインメント 2011-02-04
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観れば観るほど感動する
去年の夏劇場で観て、輸入盤ブルーレイで観て、今回日本版DVDを観ました。
観れば観るほど感動するのはどういうわけでしょうか。
国内版DVDには問題になったボカシも残っていますし(劇場の処理とは違ってモザイクになっていますが)、PAL変換により若干早回しになっています。特典映像も予告編と削除シーンのみでメイキングや音声解説はカットされています。画質自体は悪いわけではないのですが、やはりブルーレイを観てしまうと正直厳しい。
ただし、日本語吹き替えが収録され、それのできはなかなか素晴らしいです。何と言ってもエリの声が「それらしい」のが良い。日下ちひろという人が担当しているようです。
そして、音楽が素晴らしい。思わずサントラ買っちゃいましたよ。
Let the Right One In (Låt den rätte komma in) [Original Motion Picture Soundtrack] - Johan Soderqvist
CDは輸入盤であります。
Let the Right One in
Johan Soderqvist
Moviescore 2009-06-22
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美しくて哀しくて、幸せな気分をたっぷりと味わえるスコアです。♪エリのテーマとも言うべきメロディが本当にきれいでたまりません。
<以下リメイクの『レット・ミー・イン』のネタバレも含むかも知れませんのでたたみます>
リメイク版の『レット・ミー・イン』のブルーレイも暇さえあれば観ているので、けっこう違いが分かってきます。あちらでは色々と脚本が整理されていて、それは見事な出来になっているのですが、逆に変更されてしまったオリジナルの部分もまた味わい深い。これはやはり原作者自身が脚本に携わっているからこそ残っている部分でもありますね。サスペンスの作り方や、構成のシンプルさはリメイク版の方がよく出来ているのですが、オスカーのエリに対する態度や思い悩みもオリジナルは味わい深い。もちろんそれは「エリ」が実は男の子だというオリジナルでもっとも重要な要素が生み出している部分でもあるんですけど。あと、リメイクではオスカー(オーウェン)のお父さんが電話でしか登場しないんですが、オリジナルではオスカーが訪ねて、友だちが現れて置いてけぼりになるシーンがあるんです。ボクも父親がどうしようもない人で家を出て行ったもんですから、この「なんだかなあ……」という落胆を味わうオスカーの気持ちがよくわかったんですね。もっとも、リメイク版にあのシーンがあると、あのシンプルに構成し直されたシナリオが崩れると思うので、やはりあれはあれでいいんですよね。
そして、やっぱりオスカーを演じたコーレ・ヘーデブラントと、エリを演じたリーナ・レアンデションが素晴らしすぎる。リメイクのコディ・スミット=マクフィと、(我らが)クロエ・モレッツも最高なんですが、オリジナル版のあの微妙なニュアンスはガッチリきますね。
特にエリのリーナ・レアンデションが、今読んでいる原作のエリのイメージに猛烈に合致するんですね。黒髪に大きな目に、本当に「少年」を思わせる挙動が素晴らしい。ジャングル・ジムからまっすぐに飛び降りる高さが原作通り「脚折れるぞ」っていう微妙な高さなのもいい。リメイクだと一段ぐらいの高さですからね。ははは。
クロエもけっこう男顔ですけど、リーナ・レアンデションのユニセックスぶりはただことじゃないです。映画の成功はほとんどキャスティングで決まるっていいますけど、この二人はホントに凄い。
傑作です。
Let the Right One In [Blu-ray]
Magnolia Home Entertainment 2009-03-10
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オリジナルのアメリカ盤ブルーレイ。ボカシなしで高画質。メイキングも収録されています。
Let Me In [Blu-ray]
Anchor Bay Entertainment 2011-02-01
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日本公開も決まったリメイク版『レット・ミー・イン』アメリカ盤ブルーレイ。