男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ぼくのエリ 200歳の少女』


http://www.bokueli.com/

吸血鬼のお約束

スウェーデンの映画で、2年前ぐらいに公開されてからずいぶんと評判の良かった吸血鬼映画。こんかい『ぼくのエリ 200歳の少女』という邦題でやっと日本公開。原題は『Let the Right One In』

観る前に想像していた通りの静寂なイメージで、スウェーデンの雪や氷の世界が吸血鬼の世界観に絶妙にマッチしています。基本的なプロットは『隣の少女』もので、それが吸血鬼だったというひねりです。

吸血鬼モノが好きな人間としては、古典的な吸血鬼のお約束ゴトがちゃんと活かされているのがうれしかったです。中でも「人の家には招かれないと入れない」が重要なモチーフになっていて、招かれないのに入ったらどうなるのか? っていうのも実際に観ることが出来て満足でした。

吸血鬼の超人能力の演出もガッツリした特殊撮影ではなく、演出のアイデアでみせるスマートさがポイント高い。

特にサウンド・デザインが秀逸で、音による丁寧な演出が巧い。エリがオスカーの背後にあるジャングルジムにいつの間にか立っているシーンでも、明らかにそこに「直接降り立っている」と分かる音の入れ方がしてあったりして唸る。ホラー映画でもあるので、低音の使い方も適切。ちゃんと緊張感のある音がつけられている。


エリの最初の相棒(?)の殺しの杜撰さは、「ギャグなの?」というぐらい適当で、証拠隠滅もかなりおおざっぱ。ただし、最後まで見終わって、彼も12歳の頃から出会ってずっと一緒なのだとしたら……と想像したら「おかしくはないなあ」と感心しました。

ちゃんとホラー映画らしく、惨殺シーンがあるのも好感度高し。


吸血鬼のエリを演じたリーナ・レアンデションが大変魅力的です。目の描写が実に素晴らしい。オスカーを演じたカーレ・ヘーデブラント共々撮影当時12歳前後だったということで、子供の最後の輝きが美しくとらえられていますねえ。


クローバーフィールド』のマット・リーヴス監督がアメリカでリメイクするようなので、そちらも楽しみです。


原作。タイトルって『モールス信号』そのままの意味だったんですね。読んでみたいなあ。