『魔女の宅急便』と『紅の豚』
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先日放送された『久石譲in武道館』で『魔女の宅急便』の演奏を観ていたら久しぶりに観たくなりました。
最近はすっかり観ていなかったおかげか、ほどよく展開を忘れていて最高に楽しかったです。
大人になって(上京を経験して)観ると、恐ろしいほど「地方から都会へ上京する」映画なんですよねコレ。初めて都会へ到着してからの、浮かれたキキが直面する厳しさのアレコレは過剰にキツくて素晴らしい。こういうところを執拗に描いていくのが宮崎駿のいいところです。
また、ニシンのパイのエピソードも極悪で。せっかくおばあさんと一緒に焼いたパイを届けに行ったのに、そこの娘ときたら「これあんまりすきじゃないのよね」と捨て台詞。あれは落ち込んで魔女の力を無くすのに説得力十分。ダメ押しにトンボの取り巻きに登場して嫌な味だしまくったあと、まったくフォローもないんだから素敵!
また、ほうきで空を飛ぶと言う演出が気味が悪いほど上手くて、もうさすが宮崎駿と唸らされまくりです。ちゃんと「ほうきが浮いていて、キキが飛んでるんじゃない」ってあたりの「乗り物感」が凄いんですよね。しかも、ちゃんと魔法で浮いている感じがまた秀逸。全編ありとあらゆる手法で飛びまくる様は圧巻の一言です。
あれを踏まえて、クライマックスの救出劇につなげていくのがムチャクチャ盛り上がる。デッキブラシが言う事をきかない感じが最高に緊張感あおって盛り上がる。あそこは音の演出も素晴らしく、音楽がまずかからず、効果音の上げ下げも精密に組み立てられていますよね。いよいよ空中でキャッチした瞬間にドジャーンと音楽がかかりだすところも涙が出ちゃいますよ。
クライマックスの飛行船エピソードの粘着質な緊張感も、最近の宮崎駿には見られない部分で嬉しいですね。一緒にぶら下がったパトカーの使い方のしつこいことよ。
いやあ、面白いです。
続けてもう一本観たくなり、ヨーロッパと空を飛ぶつながりで、『魔女の宅急便』から3年ぶりに作った『紅の豚』を観ました。
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こちらも全編通して観るのは久しぶりで、本当に軽く観られる傑作だと思います。空中戦の切れ味や、アドリア海の風景の綺麗さ、ピッコロ飛空艇工場の生活感あふれる演出など、全編シズル感があって大好きです。相変わらずスパゲティが美味しそ過ぎるし。
秘密警察を出しぬくために、工場の裏の川から脱出するシークエンスはさすがの盛り上がりをみせて素晴らしいです。
全編ロマンチックなコメディなので、それほど「燃える」要素の無い映画だけにあそこはすごい。