男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

スカイ・クロラ

オリジナル・サウンドトラック 「SOUND of The Sky Crawlers」

全然変わってなかった。

押井守監督が生まれ変わったようにパブリシティで前向きな姿勢を披露していましたが、出来上がった本編は現在の押井守監督作品の延長線上に位置しており、正直言って商業性は極めて低い作品でした。大勢の人に観てもらわないと話にならないわけですが、折角『いいとも』にでてもあの外見では逆効果も甚だしく、押井守監督というネームバリューはこれからさらに商業的に厳しいものになるでしょう。ただし、そういったネームバリューがなければあそこまで自分勝手な映画は作れないわけですし、そこは難しい問題かもしれません。

案の定興行的にもかなり苦戦しているようで、何もかもが裏目に出てしまったような印象を受けます。


もっとも、中身が素晴らしければ救いがあるのですが、肝心要の3DCGIを使用した空中戦ではゲームのムービーを見ているような乖離感が終始付きまとい、特に劇的に燃える演出があるわけでも無いのが厳しかったです。宮崎駿には勝つと豪語していたのに、先日まで観ていた『未来少年コナン』や『死の翼アルバトロス』などのテレビ作品まで及びもつかない感じです。もちろん押井作品なのですから、そういった”燃え”要素がないであろうことは察しがついていましたし、「多分できないだろうな」という諦めもあったのですが、何だか煮えきれない気持ちでいっぱいでした。

ドラマ部分でも勿論相変わらず感情移入を一切拒み続ける演出をずっとしているので、『退屈』の一言に尽きるわけです。川井憲次の素晴らしい音楽がもっともっとかかってくれないと困ると思い続けてしまうほどです。

唯一物語が転換するくだりからは引き込まれもするのですが、そこまでがあまりにも長すぎて何も無いために「早く終わってくれないかなあ」という厭な気分がずっと続きました。


技術的な部分では、スカイウォーカーサウンドが担当したSEが無茶苦茶素晴らしかったです。ああいったものを聴かされるとやはり日本の作品のサウンドはかなり薄っぺらいんだなと感じさせられます。それぞれの場所につけられた自然音がすこぶる美しく印象的でした。

それにしてもあのCGIは何とかならなかったんだろうか……『イノセンス』などでも違和感があったんですが、結局押井守の方向性ってどうなってるんでしょうねえ。