男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序

興奮しすぎるとボクは涙が出てしまうのですが、今回久々に燃えすぎて涙が出ちゃいましたよ。



<以下ネタバレ>



最初の使徒戦のパートは律儀なほどテレビ版を踏襲してリテイクに近い作り。といっても、各ショットは恐ろしいほど緻密になっていますし、随所に新しいアイデアが盛り込まれていたりして気が抜けません。初号機が勝手に動いてシンジを守るくだりがなくなっていたりするのは、今後の展開に対する伏線にも思えますし。
一番感心したのは劇場で観ることを前提として使徒の巨大感を含めて全体的にスケールが大きくなる演出処理が加えられていたことでしょうか。初号機が起動する際に作業員たちが細かく描きこまれていたり、エントリープラグ内部に外部の映像が反映されると、シンジの足元が凄い高所であることを描写してエヴァンゲリオンの巨大さを感じさせたり。
このパートでは音楽が意外なほどオリジナル通りで新鮮味がない反面オリジナルの興奮を呼び起こしてくれました。
使徒がATフィールドによって形を維持していて、核を破壊されると例の赤い液体になってしまうなどの設定の統一には、これからのストーリーに一本すじが通ることを象徴していて、テレビ版で”ライブ感”と言われているある意味の適当さが排除されているのも非常に嬉しかったです。*1
兜が落ちて再生した目とシンジが目を合わせるシーンが無くなっているのも何らかの伏線でしょうか。

ドラマ部分の方が全体的に手直しが目立つのは非常に新鮮味がありました。


次の使徒イカ)パート。こちらも

「目標をセンターに入れてスイッチ……」「目標をセンターに入れてスイッチ……」が、ちゃんとトウジにシンジが殴られてやる気がなくなるように編集されているおかげで、到底アニメのキャラとは思えない虚無顔の説得力が生まれています。テレビだとギャグとしか思えないほど唐突にあの顔でサブタイトルですからねえ。
逆にシンジが教室のみんなに軍事機密漏洩をカマして衆目を集めたりするくだりはなくなっており、学園アニメ的な要素は無くなっていますね。ここらあたりはこれからの展開でどうなるか興味深い部分です。アスカが出てきてもそっち方向に行かないのかな。
エントリープラグにトウジらが乗り込む部分も緻密に描写され、それによってやはり巨大感がより強調されています(くるくる回ってエヴァが吹っ飛んでくるあたりも凄い)。
例のATフィールドの設定統一によって、個人的に好きだったトドメの後の夕焼けバックのセミの鳴き声ショットは、動きの止まった初号機だけになって雨処理に変更。でもこれはこれで好きです。

そして、いよいよ次の使徒(ダブル・ピラミッド)。ここでいよいよテレビ版ファンへのサービスはここまでよとばかりに、新規要素炸裂の極めつけな燃え加減でした。

この作品のクライマックスがヤシマ作戦であることは公開前の情報から明らかになっていたので、テレビ版でもあれだけ盛り上がる話をどれだけさらに盛り上げられるかが肝でした。
そして、その盛り上げブリときたら驚愕の一言でした。
まず使徒の形状がピラミッドから瞬時にトランスフォームして、攻撃形態を変化させるのが激燃え。あの感じはすこぶるSFっぽくてたまらない。前の2体が生物生物していたせいでより使徒の神秘性が強調されていると感じました。また、攻撃形態の変化によってレーザーの威力が変化するのも素晴らしくて、その”灼熱加減”は強烈な熱を感じさせる映像処理と演出で尋常じゃない緊張感を産み出していました。
ヤシマ作戦の燃え要素である”段取り部分”も新規の燃え要素がてんこ盛りで、巨大な機械が山のように双子山に結集していく描写や、ポジトロンライフルでの超長距離射撃にエヴァというロボットをどう絡めるかという部分に関する説得力のある追加設定なども、鳥肌の収まる暇がまったくない。
そして、テレビ版で非常に効果的にリフレインされる”デン!デン!デン!デン! デンデン!!”の音楽*2が、テレビ版では同じ音源の繰り返しだったのに、劇場版の維持をみせつけるように鷺巣詩郎が様々な燃えアレンジで聴かせてくれるのも凄いです。しかも、いよいよ作戦開始! という一番の燃えどころではオリジナルと同じ音源が鳴り響くサービス精神。
作戦発動からの大スペクタクルも、よくぞここまでハチャメチャにもりあげたと拍手モノ。よく考えたらロボットが寝そべってただ引き金を引くだけという、極めて反アクション的なストイックさが売りだったのに。
陽動攻撃とソレに対する使徒の迎撃攻撃の容赦なさの中で、エヴァに日本中の電力が集中していく盛り上がり方が、後述するストーリーのエモーショナルな部分との相乗効果で身震いするほど盛り上がる。それによって第一射が外れてからの絶望感と、コンピューターに頼らない手動での狙撃*3というこれ以上ない盛り上げブリで、ここに至ってももちろん鳥肌はまったく収まる様子なし。それにしても、山が半分溶けて無くなるのは半端じゃない!
続く第二射でいよいよ興奮が頂点に達して、綾波の捨て身の防御がさらに冴える極熱描写と相まって感動も極まる。テレビ版と同様一切綾波の描写が無いのも完璧。

クレジットの最後で何とテレビシリーズと同様の予告まで登場して、そのサービス精神には敬服しました。まさか劇場で「サービス! サービスゥ!!」が聴けるとは。*4

ボクが一番この映画で嬉しかったのは、庵野監督が所信表明をちゃんと実行していることです。「やれば出来る子が、ちゃんとやったら本当に凄い」のをキチンと実証して見せてくれたことが何より嬉しいです。

それはストーリーの部分でミサトのキャラがきちんとただの姉ちゃんではなくしっかりした大人になっていたり、シンジがただの駄々っ子じゃなくて観客が同情するに足る説得力のある落ち込み方をしていたり。中でもトウジたちが停電前にシンジに留守電でエールを送っていて、それを作戦前に聞くことが人類の運命が実感できないシンジにモチベーションを与えたりする部分は涙がちょちょぎれる。ああいうのは当時の庵野監督及びエヴァという作品では生まれなかったエモーションではないでしょうか。
ミサトが作戦前にセントラル・ドグマのリリスをシンジに見せるという大胆な謎の開示も、続く作品に対してのエンターテイメントとしてのやる気を感じさせる部分でした。


とにかくこれだけ面白いと、続きが楽しみで仕方が無いです。『破』はとんでもないことになりそうだし!

ああ、本当に面白かった。今年は面白い映画がいっぱい観れて嬉しい限りです。


追記:

ヤシマ作戦の説明をするリツコさん。テレビ版では落ち着かせてるのか脅しているのか支離滅裂だったのですが、今回はちゃんと脅すだけでした。ははは。


Shiro SAGISU Music from“EVANGELION:1.0 YOU ARE(NOT)ALONE”

Shiro SAGISU Music from“EVANGELION:1.0 YOU ARE(NOT)ALONE”

ちゃんとサントラが出るのは嬉しい。燃えるよなあ。

*1:逆に次の話にまで残骸が残っていてそれの処理をしているという変なリアリティが無くなったのは寂しいですが。

*2:ジョン・バリーの『ロシアより愛をこめて』のアレンジ。

*3:これでこそ狙撃モノだろう!! 『ザ・シューター』とかいう映画も見習え。

*4:しかも『破』は完全にストーリーも描きなおされるようで、まさに当初の想定だったまともなロボット・アニメになるようでまた楽しみ!