男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

記憶の棘 オリジナル・バージョン [DVD]

まれに、気恥ずかしくなるぐらい妄想丸出しの映画が具現化することがある。

うまあく、企画会議やもろもろの鬱陶しいディスカッションとかを潜り抜けて。

この映画のプロットがまさにそれで、

”10歳の少年がいかにニコール・キッドマンとお近づきになれるか”

というものである。

ジョナサン・グレイザー監督が恐らく(当然)10歳の頃に抱いていた妄想の根幹はまさにそこにあったはずで、2歳年下のニコール・キッドマントム・クルーズと離婚したあたりから

「……イケるかも」

という下心と共にその子供の頃の妄想をだしにして映画に結実させたことは想像に難くない。

しかし、そこは大人として色々なしがらみを切り抜けるため、今をときめくハリス・サヴィデスを撮影に起用して、MTV出身監督としてのビジュアル面からのアプローチも抜かりなくして小憎らしい。

そしてシナリオとしても

”10年前に死んだ夫の生まれ変わり”

というソレらしい香辛料を抜かりなく散らせて、ちょっとしたヒネりも加えて出資者もご満足という按配です。

が、

10歳の頃からまったく同様の妄想を抱いている人間にはそんなメッキはすべて意味がない。

監督のピュアな妄想がストレートにヒシヒシと胸に迫ってくるもんだから、楽しいんだか気恥ずかしいいんだか、なかなか心の整理がつきにくい映画でもあります。

監督の妄想に健気に付き合って、下心を隠しもしない濡れ場にも(濡れ場という表現が実に適している)ためらいも無く挑んでいるキッドマンが相変わらず痛々しくて、またそれがソソる。
しかも、まるで意味無くベリー・ショートになって綺麗さ倍増なあたりも、好みが似すぎていてこれまた気恥ずかしい。

とにかくそういう映画でした。