男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

アサルト13 要塞警察 [DVD]

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カーペンターの出世作である『要塞警察』をリメイクした作品。カーペンター再生産の口火を切ったはずなんですが、あまり先陣を切ったという感じがしないのがさびしい感じですね。

カーペンターの初期作品は彼の演出家としてのスタイルがまったく濁っていないことに加えて、脚本家としての力がみなぎっているのが特徴で、どれもこれもすばらしい作品ばかりなのです。オリジナルの『要塞警察』も世間的には『リオ・ブラボー』を現代にリメイクしたとかなんとかって事になっていますが、どう観てもロメロの『ナイト・オブ…』にインスパイヤされているのは明白。したがって、警察署を襲撃するチョロという不良軍団には台詞は一切なく、行動の説明などもほとんど本編では説明されません(一応仲間の敵討ちなんですけど)。これはカーペンターが『ナイト・オブ…』での”ゾンビに襲われて一軒家に立て篭もる”というすばらしいプロットを換骨奪胎して、現代の警察署を舞台にしたところが素晴らしいアイデアなんですよね。
なので、今回のリメイク作品は襲撃してくる敵に動機やキャラや台詞が普通につけられているもんですから、作品としてはこちらのほうが『リオ・ブラボー』などの西部劇スタイルに則っているのかもしれませんね。
つまり、『要塞警察』がカーペンター抜きで映画化されるとしたら、概ね「こうなるんだろうなあ」という予測をまったく裏切ってくれないので、観ていて非常に退屈でした。吹雪の大晦日という設定は好みですが、それが別に作品の個性にまではなっていないのも残念。

逆に言うとオリジナルの『要塞警察』のユニークで素晴らしい点が、あまり活かされていない事になりますね。

HDとしてのクオリティは非常に高く、夜がほとんどの作品ですが暗部の諧調も鮮やか。吹雪がだんだんと小降りになってくる雪の舞うディティールなども大変雰囲気が良く出ています。