男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ポセイドン

前評判の悪さなどから一抹の不安があったのですが、これほどボクの個人的なツボを突いてくれたパニック映画はないと言うほど堪能しました。勿論気になるところは山ほどあるのですが、あれだけ水責め関係の障害を描いてくれただけでも大満足です。


<以下ネタバレ>

先ず転覆シーンの地獄絵図が最高でした。船員が覗いた双眼鏡のレンズに高波が映るあたりとか、プールの水がそれ自体傾斜で高波になって人をなぎ払って行ったり、凄いロング・ショットでドカドカ人が投げ出されるのを捉えていたりして圧巻です。炎が通路の人々をあっという間に焼き払ったりするあたりも容赦ない描写が連続して、それだけで終わってしまった凡作『デイライト』へ地味な挑戦状を叩きつけているようで燃えました。

いよいよ主要人物たちによる脱出が始まるのですが、ここでも危機又危機ぶりは狂喜乱舞。今回はオリジナルと違って人間ドラマを意図的に廃したアトラクション・ムービーですので終始切羽詰った状態に追い込まれるのがいいです。

ボクの持論として”ダクトを通る映画は面白い”というのがあります。閉所恐怖症の人にはたまらないでしょうが、この映画ではそれに加えて水まで迫ってくるのですからいうことナシです。中盤で展開する縦抗での雪隠攻めは圧巻で、下の人間は水に責められるは、上の人間は柵を開けるのにネジを開けようと奮闘するは、途中の人間は詰まってしまって動けなくなるはの三重奏。あれは燃えました。

しかもその先がバラストタンクの中で、一度満水にしないと圧力扉が開かないという素晴らしさ。地獄の先がまだ地獄っていうのは最高の展開です。(ここで、ダクト行を提案したカート・ラッセルが又通気抗を見つけるけど、みんなから怒鳴られるくだりは爆笑です)

しかも、その圧力扉が満水になっても中々開かない! あれだけ焦らすのは最近みたことがないので嬉しい悲鳴。

今回はオリジナルと違って船首から脱出することになるんですが、ここでも一工夫考えられていて、水没しているので皆が諦めていると船尾部分のエンジンが爆発したことで水没し、逆に船首が持ち上がるという展開。これは時間制限なども含めてかなり絶妙で燃えました。しかもここでも、子供が行方不明になって2つのグループに分かれての危機の多重構造(それ自体が独立しているのは残念ですが)。

船首のプロペラを止めるために水没した制御室に死を覚悟して赴くカート・ラッセルが美味しいところを持っていきます。ここでも到着したカート・ラッセルがエンジン停止ボタンが壊れていて驚愕する素晴らしい芝居をみせてくれます。観ているほうも「えええ!!! スネークが無駄死に!!??」と驚愕する中、ギリギリでプロペラの反転ボタンを押して息絶えるカート・ラッセルに号泣。

今回は原作にもあったけど、オリジナルでは制作費の関係で撮影されなかったポセイドンの沈没シーンが、CGIを駆使してド迫力で描かれていて又燃えました。転覆したポセイドンが最後に再び元にひっくり返って沈没……

その後のあっという間に救助隊が来る展開など、98分の上映時間はだてじゃないといわんばかりのテンポで、大満足の一本でした。


もっとも、少しだけ気になるのは、前作では素晴らしい質感だったのに、今回は最新の豪華客船という設定が裏目に出たのかセットがきれい過ぎてセット臭さがあるのが気になりました。それに関係して水没シーンなどにしろ全体的に明るすぎます。原作でも重要だった暗黒地獄を少しでも再現して欲しかったです。夜の海で転覆したら絶対に外光は入ってこないはずですから、非常灯のあるシーンではまだしもバラストタンクやダクトなどは懐中電灯の光だけで展開するぐらいの暗黒描写が欲しかったです。

他にも、先にも書いた船尾の沈降で船尾が浮くというアイデアが良いだけに、それをキャラクターに思いついてキャラクターに実行させて欲しかった。死にキャラはまだまだ居たのでそこは勿体無かったと思います。


ブロブ』で度肝抜いてくれたキャスティングで記憶されるケヴィン・ディロンですが、今回はセオリー通りの死に様で大笑いさせてもらいました。


ポセイドン 上 ハヤカワ文庫 NV キ 3-2

ポセイドン 上 ハヤカワ文庫 NV キ 3-2

ポセイドン 下 ハヤカワ文庫 NV キ 3-3

ポセイドン 下 ハヤカワ文庫 NV キ 3-3