南極物語
この映画はもう20年ぐらい前に前編後編という形で180分近い長尺版を最初に観たのですが、犬を置き去りにすることが決定して、渡瀬恒彦が日本中から送られた犬への贈り物を海に投げ捨てる場面で前編が終わりでした。オリジナル版を観直すと前半部分は意外にテンポ良く進むので、かなり刈り込んでいることが分かります。ただ、ボクは最初にあちらを観ているので、前半部分の余計な部分に生活感を感じて結構好きだったのです。渡瀬恒彦が食料の缶詰を食べるシーンとか。(よく考えたら前半部分女性一人も出てないな)
後半部分は犬達のサバイバルと日本での健さんたちの場面が交互に描写されるのですが、ヴァンゲリスの音楽が全て犬達の南極側に割り振られているのが今観ると興味深いです。ヴァンゲリスのあの音楽はやはり日本の風土には合わないんでしょうね。南極の風景にはやったらと合っていますが。
犬が死ぬたびに名前と年齢と出身地が出るのが、仁義なきテイストで何とも泣けます。
ハイビジョンのマスターが作成されているのですが、フィルム傷が相当あって、DVDのほうは観ていないので修復とかしているのか気になります。画質としてはさすが南極の風景や昭和基地の中の静謐な空気感はさすがの再現力でしたが、セットとの違いがモロにわかってしまうのも哀しいものがあります。
ラストの健さんと渡瀬恒彦の男泣きドアップは何度観てもグっと来るものがあって、ヴァンゲリスの音楽と共に感動を誘います。
クレジットを観ると佐藤浩市が出ているようなんですが、どの役立ったのかなあ。
観なおす前に、フと「リーダー犬のあいつは何て名前だったっけ?」となって愕然としました。当時は全部の犬の名前を暗誦できたのに。「荻野目の妹が健さんの連れてきた犬を引きずって返すひどいシーンで名前を言うんだよなあ……○○を何で置いてきたのぉぉ??」って。あのシーン観直してもやっぱり犬が可哀想で溜まりませんでした。「何で俺こんな責められるの???」顔が凄くて。紐全開でピンと張ってるし。まあ、健さんも身代わりとは言えあんな成犬連れてったって懐くわけ無い。荻野目が抱きかかえる巨大さが、より泣き笑いを誘って困った。*1