男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ザ・ビーチ

ザ・ビーチ〈特別編〉 [DVD]

ファントム・メナス」の上映前に流された特報で、ディカプリオの史上最弱の突きの連打に大爆笑してから早くも6年。スター・ウォーズはいよいよ「シスの復讐」で幕を閉じようという今年、遂にハイビジョンで初めて観ることに。

全くといっていいほど興味が無かったので、気持ちいいほど予備知識の無い状態で観ました。

ダニー・ボイル監督の作品はデビュー作の「シャロウ・グレイブ」を劇場で観た際にあんまり面白くなかったので、「28日後…」を観るまではそれほど期待を抱かせない人でした。

で、この作品が監督の狙いなのか原作がそうなのか、とにかく支離滅裂な展開を、ブラック・ユーモアとシリアスというタッチまで支離滅裂で描いているので、本当に「これ何なんだ?」という不思議な気分に陥る映画でした。

まあ、あらすじとしては、バンコクに一人旅に来たディカプリオは「楽園の地図」(ザ・ビーチ)をふとしたことから手に入れて(これも「ふと」とはとてもいえないことなんですが)、唐突にホテルの隣に泊まっていたカップルをその楽園(ザ・ビーチ)への旅にさそう。そんなキメてる感丸出しのディカプリオを訝しむ気もまるっきりないカップルと共に一路「楽園」(ザ・ビーチ)の隣の島までやってくるディカプリオは、「泳いで」いざその楽園(ザ・ビーチ)のある島へ辿り着くんですが、その島には大麻畑を守る武装農民が。それでも懲りずに島の反対側へ楽園(ザ・ビーチ)を捜し求め、たいして高くも無い崖から決死の思いでジャンプを決めるや、そこに待っていた黒人が拍手でお出迎え。ディカプリオとカップルは楽園(ザ・ビーチ)に辿り着くのですが、そこはヒッピーたちのコミューンが作られていて、自給自足の「まあ、楽園と言えなくは無い」程度の場所。確かに綺麗なビーチがあるので偽りは無いわけですが、そこにはサメがいたりしてディカプリオはいきなりサメと対決したりして男を上げる。ところが仲間がサメに襲われると「ギャーギャー喚くとうるさい」ので一致団結して森の外れに置いてけぼりにするという悲惨ぶり。そんなある日、ディカプリオが島に来る前にちょっとビビって地図の写しを置いてきたもんだから、続々と観光客が隣の島に集まってくる。仲間から非難されたディカプリオは「見張り」をしろとこれまた島のはずれで野営。そうこうするうちにブッち切れたディカプリオは、テレビ・ゲームのやりすぎを揶揄した幻覚の虜になって、突如鉢巻を巻くやランボー気取りで島を跳梁跋扈(ただし、気づかれないようにしているので「ごっこ」どまりなのが凄い)。そんなこんなで観光客が島に現れるや武装集団に皆殺し。そこでまたまた突然我に返ったディカプリオはカップルをつれて島を逃げようとするけどすぐ捕まる。そこでロシアン・ルーレットの刑に処されかけたけど、仲間がみんなわが身可愛さにリーダーを置いて島からとんずら。海を漂流するいかだにはちゃっかりディカプリオがうなだれた顔で乗っている。んで、現実世界に戻ってくると、インターネットカフェでメール・チェックをすると、楽園(ザ・ビーチ)での記念写真がカップルの女性から愛を込めて送られてくるので、ディカプリオは満面の笑顔。そこでフェードアウト…


まあ、あらすじを書いているだけで訳分からないんですが、全然緊迫しない展開なのにカメラワークとディカプリオの顔だけが異様に緊迫しているシークエンスなどは一見に値したりするような、全体的にはジョセフ流に言えば「シュールよのう…」としか言いようが無いです。

ディカプリオがブッち切れてからのランボーぶりは身体の貧弱さと相まって爆笑必至ですが、ダリウス・コンディが撮影なんかしちゃってるもんですから、映像がえらく綺麗でカッコイイのが困りモノです。この後「パニック・ルーム」でフィンチャーと喧嘩して降ろされちゃったりしてますから、よく分からない人ではあります。

ダニー・ボイルのフィルモグラフィってもっと作品があったような気がしたんですが、これはボクがダニー・キャノンと混同しているから生じた誤解で、ボイルにしてみれば恐らく屈辱的な混同だと思います。まあ、別に謝りませんが。


<ハイビジョンの見所>

CGIと併せた空撮などからの引きや寄り、そして空気感まで感じさせるビーチの情景描写はさすが「楽園」と言えるほどの綺麗さで息を呑みます。

  • 町の喧騒

ビーチから町へ買出しに行くくだりがあるのですが、そこは落差を強調するように雑多なイメージが羅列されて、こちらのケバケバしい映像もまた見所です。

全体的にダリウス・コンディの撮影によるシネスコいっぱいに広がる映像美はハイビジョンの特性を遺憾なく堪能させてくれるものでした。作品としてはとにかく異色作としか形容の仕様が無いですが。