小説 エマ (1) (ファミ通文庫)
- 作者: 久美沙織,森薫
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2005/03/22
- メディア: 文庫
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あわせて発売された小説版も読みました。
久美沙織の本は始めて読んだのですが、原作における重要な要素の一つ「ヴィクトリア朝時代の生活感」をかなりの分量を割いて書かれているのが好感が持てました。
原作一巻にちょうど相当するようになっており、原作にはない内面描写やエピソードも付加されているのも分量が増えている要因の一つです。
ただ、気になる点もいくつか。
○若者組みの台詞に現代の若者言葉が使われている。
「…ていうか」「ぶっちゃけ」など、雰囲気が台無し。恐らく当時でも若者は若者独自の言葉遣いをしていただろうことを表現しているのかもしれないが、安っぽい。しかもそれによってキャラクター設定が軽薄になってしまっている気がします。ウィリアムはそんな奴じゃないだろうし、インドの王子ハキムに至っては下品に思えてしまう。
○熟年組みの台詞がタメ口。
タメ口も含めて、時折荒れた言葉遣いになるのがどうしても雰囲気を壊す。勿論これも日常会話を意識しているのでしょうが、それにしてはチグハグな印象を与える。これもキャラクターと乖離しているのが原因と思います。
ただ、少ない漫画の分量では物足りないと感じる人間の欲求に応えるには充分な本だと思いました。