男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

戦場のピアニストTHE PIANIST★★★1/2

ナチス侵攻時のポーランドを舞台にした、ピアニストの話。「シンドラーのリスト」が終盤満を持してアウシュビッツを登場させることで、娯楽映画としての(恐怖映画としての)クライマックスを作りだしているのとは違い、全編主人公のピアニスト、シュピルマンの視点から描かれているので、それほど派手な展開があるわけではない。ただ、その事によってホロコーストの恐怖というよりも、戦争という状況下の恐怖が肌感覚で伝わってくる。

この映画のポイントは、主人公のシュピルマンがどういう状況になろうと故郷の街を逃げようとしないところだと思います。なので(地味ながらも)どんどん廃墟になっていく街で必死に生き延びるサバイバル的な要素も好きなところです。(サバイバルっていうと、恐ろしくテーマを勘違いしているっぽいけど、主人公がボロボロになって、必死に生き延びようとするプロットは大好きなんで)

クライマックスはナチスの将校とであったシュピルマンが、ピアノを弾くことで見逃してもらった上にナチスの撤退まで食料まで援助される。単純かもしれませんが、人間には良いやつも悪いやつもいて、それには敵味方関係ないのに、戦争になるとそういったこととは無関係に殺し合いをさせられるのが怖いんだと思うんですよね。

この将校がコートを最後にあげるんですが、このコートを着ているもんだから、いざ助かるという際にやたらめったらサスペンスを産み出していて、ここらあたりにポランスキーの冴えを見ましたね。(あ、屋上で落ちそうになるくだりも「フランティック」っぽかったな)

シンドラーのリスト」と比較すると、スピルバーグポランスキーの資質の違いがよく見えるようで楽しいです。