男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

慟哭★★★

貫井徳郎のデビュー作。

この日記に小説の感想があまりないのは、僕が鬼平ばっかり読んでいるからです。で、鬼平のほうも19巻に達して、このままでは一気に終わってしまうと言うことに気付き、ちょっと間に挟んでみました。

京極の「陰魔羅鬼」はガッカリなんてもんじゃなかったので、ちゃんと驚かせてくれる(色んな意見があるようですが、ミステリって読んでいて驚いたかどうかが僕のポイントです)ミステリを読みたくて。

書店POPでの影響で文庫化して4年後の去年ぐらいから売れているようです。

ミステリを読む時っていうのは、作者との腹の探り合いですから、あれこれとパターンを読むわけで、実は今回の「慟哭」もかなり最初に思いついたトリックが当たりでした。

ただ、それはそれとしてそこに至るミスリードなどの手法を堪能したので、結構満足しています。

(以下ネタバレ)





主人公である捜査一課の課長が連続殺人事件を捜査しているくだりと、犯人が犯罪に至るまでを交互に描いていき、結局「月日」は近くてもそれは「年」が一年ズレていて、実は犯人の描写は主人公の課長のなれの果てだったというのがトリックです。で、これは直ぐに思いついちゃった訳ですが、僕としては、そのトリックそのものよりも、最後の二行が仰天したんです。吃驚したのはその課長が捜査していたほうの連続殺人事件の犯人は分からずじまいなんですよ。これが何ともいえない後味で。大げさですけど、目の前が真っ暗系といいますか。あんまり作者の意図したところとは違うんでしょうが、僕個人としてはその真っ暗ぶりに吃驚しました。

これぞ落ちって感じでした。