男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

AIKI★★★

凄く良い映画です。

天願大介監督10年ぶりの劇場用映画になるわけですが、言葉はよくないですが「こなれた」印象も感じるほどきちんとした娯楽映画になっていました。

約2時間の上映時間をちょうど半分ぐらいに分けて、前半が「屈折編」とすると、後半は合気柔術とであってからの「向上編」という感じ。

ともすれば退屈になるかもしれない「屈折編」なんですが、そこはそれ天願監督の持ち味である「人間への容赦ない視点」が活かされて、その加藤晴彦扮する主人公太一の屈折ぶりが思う存分堪能できます。それがリアリティ満点なので感情移入もひとしお。

そして、石橋凌扮する合気柔術の師範と出会って、心身ともに前向きになるわけですから、凄く素直に気持ち良い映画なんですよ。

この石橋凌が凄くよくて、やくざじゃないって言うだけでもびっくりなのに、ちゃんと合気柔術の師範に見えるんですね。これは技の殺陣が上手くできているのもあるんですが、やっぱり人間としての徳の高さみたいなものがよく出ているからだと思います。そういう意味じゃ「キッズ・リターン」のまれに見るいい組長はだてじゃなかったようです。

「屈折編」での障害者としての師匠とも言うべき火野正平も凄くよくて、「なっちまったもんしょうがねえだろ」とかセリフに納得力があります。

他にも「向上編」で登場する、テキヤの親分に扮する桑名正博も大笑いできるほどベタベタな関西人を好演。酔っ払ったときの(殆どの場面で酔ってんですが)あの「脳みそを経由しないで口だけで話す」感じがそのままです。ははは。

女性陣もみんな魅力的で、天願監督がこんなに役者を魅力的に使う人だとは思っていなかったので意外な喜びでした。

ストレートな青春映画としてほんとに面白い映画。