男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『アントマン』★★★

ワクワクするアドベンチャー

アントマンはズルイ。

通常の画面だと殆ど見えないほどの大きさになってしまうので、続編とかでも「実はマーベルのあの映画のあの場面で活躍していた」ってのがいくらでもできちゃいそう。色々と考えただけでワクワクするズルさだ。

ええっと、フェイズ2? マーベル映画の大きな枠でいう2枠目の最後をつとめるだけあって、「ウィンター・ソルジャー」や「エイジ・オブ・ウルトロン」関連がごくごく普通に入り込んでくる。Twitterでどなたががつぶやいていたんだけども、一作目である『アイアンマン』では「現実世界」と地続きになるよう丁寧に作られていた地道なフィクションラインの調整が、『アベンジャーズ』の大成功以降、「マーベルユニバース」が広く認知されるようになったことで、そちらと地続きになるようなフィクションラインが用いられるようになっているのが特徴。スティーヴン・キングをはじめとする別作品間のクロスオーバーが三度の飯より好きな人間なので、こういうのは大歓迎で大いにやってほしい。

とはいえ、当然「アントマン」としては一作目なので、ちゃんと単体としても考慮されているのは流石だなと。

刑務所から出て仕事が無いから前科を隠してサーティーワンアイスクリームでアルバイトをしている主人公っていうだけで現実味アリアリだし、博士を演じるマイケル・ダグラスの眼力による説得力は大したもの。いよいよスーツを着込んでアントマンになってからのワクワク感は、子供の頃にハマった『ミクロの決死圏』や、ジョンストンの傑作『ミクロキッズ』を例に出すまでもなく、もっと言えば藤子不二雄が散々ドラえもんその他で「縮む」ネタをやりまくっていたので、馴染みが良すぎる。そして、それはすなわち子供心を大いに刺激するんですよね。「小さくなる」っていうのは。もちろん「ウルトラマン」などの「大きくなる」というのにもロマンがあるんですが、同様に「小さくなる」っていうのも想像力を大いに刺激してくれるわけです。

そして、そのワクワクを後押しするのは「映像」

実際に大きく作ったセットで撮影した映像を、マクロレンズで撮影した現実の風景と合成する事によって生まれる、超ミニチュア感が素晴らしい。音響効果も実に凝っていて音が「空気の振動」であることを的確に感じさせてくれます。

さらに、アントマンというだけあって、蟻たちを味方につけて一緒に行動するというのもたまりません。

全編にソウル・バス唯一の監督作品である傑作『フェイズIV』へのオマージュが散りばめられているのもグッド。

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こちらは当然CG一切無しな上、アニマトロニクスなども殆ど使われていないガチ映像で構成されている異常さ。


個人的に一番興奮したのは終盤の展開で、リチャード・マチスンの名作『縮みゆく人間』と同類の神秘的な感動が得られるんですよ。


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ドンドン縮んでいく主人公の現在の状況と、そこに至る回想を交互に描くのが極めてモダンな作劇。最後は得も知れぬ感動があります。


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先日ついに国内DVD化された映画版。


マーベルユニバースは作品もたくさんあってとっつきにくいと思っている方には打って付けの入門編として大変楽しめるのではないでしょうか。


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サントラ。メインテーマも思わず口ずさむいい曲です。


にしても、マイケル・ダグラスは良かった。マイケル・ダグラスがアメコミと聞いた時はてっきり悪役だと思っていたのですが、まさかの主人公の味方で、しかも元ヒーロー。歳をとっても衰えぬ親父譲りの眼力が、狂気の交じる博士を見事に体現しています。

そうそう! あの「戦車」ネタ最高でした。ああいうのももっと観たい!


オススメです。