『ブルックリン』★★★1/2
映画史上類を見ない船酔いシーン
この美しいポスターに期待して観に行ったら、その期待を見事すぎるほど裏切らない良い映画でした。
長くなってもアレなので、個人的に強烈に記憶に残っているシーンだけメモ代わりに書いておきます。
主人公がアイルランドからニューヨークに船でやってくるわけですが、このシークエンスがちょっと普通じゃないんですよ。
まず、食堂でヒロインがまっずそうに食べているスープかなにかが、本当に「裏美味シネマ」史上に残るほど不味そうな代物で、ここからして暗雲が立ち込めまくるんです。
そして、同室の女性がヒロインに「ものを食べないように」という忠告。
何が起こるんですか?
当然それは
「船酔い!」
この描写が極悪!
まず、共同トイレを隣の部屋のいじわるに閉めだされてしまったヒロインは、辛抱たまらず廊下に飛び出すんですよ。そしたら消火用のバケツを取り出す。
(ああ、可哀想に……)
と思った観客の同情を180度外角へ打ち飛ばすように、ヒロインが身体を翻すやそこへおしりを叩き込んで……
そう!
「尻」=「ケツ」=「アス」
ですよ。
気持ちが悪くなった人間なら誰しも経験する
「吐き気と下痢が同時に襲ってきて、どっちを解決すればいいんだ!?」
という悪夢そのものの選択です。
こいつをそのままストレートに画面で活写するんですよこの映画。
しかも、この可愛らしいシアーシャ・ローナンがそのまま演じる。こんなどの層に狙いを定めているのかわからない、少なくとも上のポスター目当てで観に来ている人間は間違いなく求めていないエゲツないシーンなんです。
そして、なんとご丁寧にも、そのバケツに向かって(顔を突っ込んで)ゲロゲロゲロとおっぱじめる!
書いていても気持ちが悪くなるようなリアリティ満点の演出に、「そりゃオスカーノミネートでもしとかなきゃ浮かばれねえ」と思うことしきりでした。
そんな映画です。(ウソ)