男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『10クローバー・フィールド・レーン』★★★

新たなダクトテープ映画の傑作誕生

『デスプルーフ』のチアガール、『ダイ・ハード4.0』のマックレーンの娘ルーシー、『遊星からの物体Xファーストコンタクト』のヒロインなどなど、大きな目で印象に残るメアリー・エリザベス・ウィンステッド。同様の長い名前のメアリー・エリザベス・マストラントニオと妙なダブりかたをしてしまっていて損なのか得なのか良くわからないんですが、現役ではマストラントニオはもう過去の女優さんなので支障はないんでしょう。

とまれ、JJが傑作『クローバー・フィールド』の続編を突然発表してから、あっという間に全米でも公開され、今回やっと日本でも公開されたので観てきました。

今回は前作で採用されたPOV演出などは無く、シネスコアスペクト比でいわゆる通常の作劇で作られた作品ですが、いやいやこれまた一癖も二癖もある作品に仕上がっていて大変楽しめました。

まず『クローバー・フィールド』の続編という名目で観た場合に、全編ほとんどがシェルターの中という限定空間で展開するストーリーがそれだけで驚かされますし、この作品単体で観た場合には「限定空間のサスペンスだったのが終盤とんでもない展開になって驚かされる」という構造になっています。もっとも、逆に言えばどっちに転んでも「なんだ、そりゃ?」という事になる人も多そうですが、わたしは断然肯定派です。

先述のメアリー・エリザベス・ウィンステッド演じるヒロインが細かいところで「頭の回転がよい」というのがディティールで観客に伝わってくるのが大変よろしい。彼女への信頼感は大きくこの作品を底上げしています。演出にしても前半でのジョン・グッドマンの腰についた鍵を掠め取るくだりの上手さはなかなか唸らされます。

JJらしく中盤で大々的な衝撃シーンがあるんですが、実はその直後にジョン・グッドマン演じるシェルターのオーナーが「髭をそって」登場するという演出に肝が冷えましたよ。その前段階で暗示された「いやああな」設定を、それだけで観客に叩きつけてくれます。

そして、この映画がわたしにとって特別な意味を持つのははやり


ダクト


わたしは以前から書いているように「良いダクトが出てくる映画は良い映画」という持論がありまして、今作はその論をまたしても証明してくれました。

今回登場するシェルターのダクトは実によいダクトで、メアリー・エリザベス・ウィンステッドを意識しているのか、『ダイ・ハード』と似た演出も多々みられ、タンクトップ姿とあいまってかなり意識していることは間違いない。脚本に傑作『セッション』のデイミアン・チャゼルが参加していることも無関係ではないでしょう。良い映画を作る人間は常に「ダクト」のことを脳裏において仕事をしているもんですからね。

加えて、長らくハリウッドでは万能の小道具として活躍している「ダクトテープ」が当然今作でも大活躍しているというのもポイントが高い。

『オデッセイ』と並び「ダクトテープ映画」としてもトップ10に入ることは間違いないでしょう。


ともあれ、「なんか良いダクト映画ないかなあ」と思っている人には力強くオススメできる快作です。


クローバーフィールド/HAKAISHA (字幕版)
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他に類する映画がなかなかない傑作です。


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実は『ルーム』と並ぶ「監禁映画」としても秀逸な作品で、同じ時期に公開されるというのもなかなか興味深い。両作を観ておくと拉致監禁野郎は本当に極刑に値することを痛感します。