『蝿男の恐怖』(再見)
30年ぶりに観ても面白い質の良いスリラー
クローネンバーグの『ザ・フライ』はわたしのなかのトラウマ映画5本に入る凶悪な映画ですが、
Amazoneプライムビデオにあるので、直後に速攻観ましたw いい時代になりました。
公開当時テレビでオリジナルである本作が放送されたのを観たのですが、「知名度はあるけど古い映画だし、それなりの映画だろう」と思って観始めたら、グイグイ引きこまれて最後まで観てしまったのを覚えています。
今回ノートリミングシネスコでは初の視聴になりました。大人になってから観直しても、やはりヴィンセント・プライスが出演しているのを差し引いても「品の良い」スリラーでした。ある種の叙述式で語られるミステリーとしてのフォーマットが引き込まれるんですよね。基本的にはヒロインである(マイケル・ジャクソン似)ハエ男の奥さんによる回想。
ハエ男になった科学者の旦那さんのビジュアルが本当に中田秀夫の『リング』のアレに影響を与えているのは明白ですよねえ。
50年代の数多あるSFホラーの一本であるにしろ、20世紀フォックスという超メジャー会社ですし、当時フォックスが大プッシュしていたシネマスコープによるカラー撮影ですからね。かなり力を入れていた作品なんだとは思います。
引っ張りに引っ張る構成と相まって、ディック・スミスによる有名なハエ男のヘッドがドッバアン!と画面に出てくるシーンのインパクトは当時絶大だったことは今観ても理解できます。擬似的なハエ視点で複眼の映像で叫ぶ奥さん(マイケル・ジャクソン似)が無数に画面に並ぶ映像も有名ですよねえ。
とはいえ、やはりこの作品最大のインパクトであるラストのアレ。
当時中学生のわたしですら背筋にギュウウっと何かが走りましたもの。
「help me……help me……」
原作も相当凄まじいらしいので、ぜひ今度読んでおこうと思います。
しかし、まあよくぞこれほど悪夢のような設定を思いつくもんです。