男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ビリギャル』★★★1/2

新たな「ロッキー映画」の快作

この映画もまさに「するかしないかの分かれ道で、するという方を選んだ勇気ある人々の物語」でした。

そして、「しない」という方を選んだ勇気ある人のエピソードもあたたかく描かれている点も重要。

いずれにしろ「できた」かどうかが重要ではないのも「ロッキー映画」として清く正しい。

実は出ていることすら知らなかった伊藤淳史が、持ち味を思う存分発揮して映画の楽しさを大きく底上げしている。『ロッキー』で言えばバージェス・メレディス演じるミッキーの役回りで、「良き指導者にならん」という気概を決して重苦しくならずユーモア満点に演じています。これこそ伊藤淳史の持ち味でしょう。終盤の「っええぇ!?」なんか彼しか出来ない快演。

「悪い生徒はいない。悪い指導者がいるだけです」

というこの作品の肝の部分に大変説得力を持たせてくれます。

「悪いメンター」である高校教師を演じる安田顕の心底ムカつく好演もあって、ステレオタイプのキャラばかりで構成されている本作をしっかりと支えていますね。

今時の邦画には珍しく羽目を外さずしっかりと「普通」の演出を積み重ね、「ギャグ」をカッチリ入れてくるあたりにどこか既視感を覚えて調べてみると、なんのことはない土井裕泰監督は『空飛ぶ広報室』の演出をしている方でした。どうりで安心して観ていられるわけでした。

中盤からは邦画の悪い癖である「お涙頂戴」シークエンスも多く入るのですが、お母さんを演じた吉田羊さんや、お父さんの田中哲司などの芝居がオーバーになっていたいので許容範囲に収まっているし、正直個人的には結構グっとくる場面も多かったです。一応エディプス・コンプレックス的なものも含ませているようですし、そこら辺も嫌味一歩手前の良いさじ加減で盛られているんじゃないでしょうか。

塾の友達を演じる野村周平はどっかで見たやつだと思ったら、『ちはやふる』の太一だったのでびっくり。こいつとのロマンスとかが噂通り毛ほども無いのがこの作品の大きなポイントの一つではないでしょうか。

あくまでも描かれるのは「良き指導者」(親も含めて)とその弟子ですからね。そこは「ロッキー映画」とは一味違うところであり、この映画のユニークなところだと思います。


いやあ、前評判が良いのは聴いていたのですが、意外なほどグイグイ観てしまって我ながら驚いています。一日にぶっ続けて4本も映画を観ているのに、これだけ楽しめたってのはそれだけで大した映画なんじゃないかとw

ああ、あと主演の有村架純が抜群に可愛いんですよ。金髪のギャルで登場する前半部分も可愛いんですが、終盤で「わざとダサくした」というジャージにボブヘアーも結局可愛いというw


オススメです!


映画「ビリギャル」【TBSオンデマンド】
(2015-11-12)
売り上げランキング: 357