男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ヘイトフルエイト』★★★

70ミリで観たかった……

わたしの中で監督作が全作期待を上回る傑作という「打率10割監督」として不動の地位にいたタランティーノ

結果から言いますと、残念ながら今作はわたしの中で初めて「期待を下回る」映画となりました。


もっとも、タランティーノが本来観て欲しかったであろうウルトラパナビジョン方式による70ミリフィルム上映で観ていないのだから、この感想が正しいかどうかは確信をもてませんけど。


とはいえ、ハッキリ言って第3幕に至るまでの冗長さに対する救済措置を怠っているのは、タランティーノの傲慢に思えて仕方ありませんでした。

言い訳に聴こえるでしょうが、わたしは全編ギンギンに冴え渡った目で観ていましたし、結構眠たかった眠気をまったく感じないぐらいちゃんと観られましたが、周りの人間はことごとく寝息を立てていましたし、わたしもその「冗長さ」はちゃんと体感で感じられました。

タランティーノの映画は常に「冗長」と受け止められても仕方のないような「無駄話」(実際には無駄話ではないんだけど)を延々を繰り広げる「会話劇」としての要素が多いんですが、今までの作品はデリケートと言ってもいいほど、編集や撮影や作劇などを駆使してその「冗長」さを「面白さ」に転換してきた実績があるわけですよ。

今作の前半部分にはそういった「繊細」な工夫(サービスと言ってもいい)が欠如しているのがどうしても気になりました。

別にそれが悪いと言っているわけではなく、それでも面白い作品や、それが売りの作家がいるのも事実ですし、わたし個人もそういった作品の楽しみ方は(少しではありますが)理解しているつもりです。


でも、タランティーノにはそうなって欲しくなかった。もちろん個人的な欲求に過ぎませんので、タランティーノはいつもどおり自分の作品を作っているにすぎないのは承知の上で苦言を呈したい。


3幕に入ってからはいつもどおりメッチャクチャ面白かっただけにね。


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エンニオ・モリコーネにやっとオリジナル楽曲を書いてもらえたサントラ。見事アカデミー賞も受賞。しかもメインテーマが耳に残ってはなれないというw

本編では相変わらずモリコーネの既存の楽曲を自家薬籠中の物として使いまわしているのも、恐れ多いといいますか、鉄のポリシーといいますかw

作品自体が『遊星からの物体X』をモチーフとしているわけなのか、モリコーネのサントラから本編でオミットされた曲や、本編でも使われていた曲も使っているあたりは、思わず苦笑しか無い。