男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ブレックファスト・クラブ』を観ました。

むせ返るような青春の息吹

80年代。ボクにとっても青春どまんなかであり、どの映画も思い出深いものであります。ただ、ボクも御多分にもれずよくいるオタクだったので、こと「青春映画」という直球なジャンルには苦手意識が強かったのも事実です。「なにそれ? 美味いの?」というやつです。

そんなボクでもジョン・ヒューズ関連の映画はいくつか琴線に触れて大好きだったりします。特に『プリティ・イン・ピンク』なんてかなり好きな映画ですし。


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で、

個人的にシチュエーションドラマとでもいうんでしょうか、舞台や時間が限定されているような縛りのある作品が大好きなので、こちらの『ブレックファスト・クラブ』なんかも結構お気に入りだったりします。これは「学校が休みの土曜日に反省会みたいに登校させられた5人」というシチュエーションですな。

今回27年ぶりに観直すと、良くも悪くもすっごくディスカッションドラマっぽくて、いわゆるコメディ要素がほとんどないんですよね。監督の先生(『ダイ・ハード』で役立たずの本部長ドゥエイン・ジョンソンを演じたポール・グリーン)との駆け引きみたいなもはあるんですが、基本的には図書室で延々と「学校内での所属グループの違う5人」が他愛ない会話や口喧嘩をしたりするだけ。

同時期に名作『ファンダンゴ』で優等生の堅物を演じたジャド・ネルソンが、今作では典型的な問題児を演じていてドラマを撹拌させる重要なキャラを演じています。役者の実年齢でも一人だけ20代後半というのも興味深い。アメリカ映画って笑っちゃうぐらいオトナがしゃらっとティーンエイジャーを演じるんですよね。

そんな中ジョン・ヒューズのミューズともいうべきモリー・リングウォルドは一人だけリアルなティーンエイジャーの年齢。別段可愛くも美人でもないと思うんですが、『プリティ・イン・ピンク』でもそうだったように、観ているとやたらと魅力的に思えてくるんですよね。多分あの唇とかのバランスの問題なんでしょうが、やっぱりユニークな顔立ちというのは重要です。

エミリオ・エステベスも親父譲りの「何考えてるのかよくわからない」目つきでステレオタイプのスポーツマン優等生を演じていて、実は青春映画に全然向いていないんじゃないの? という思いを強くさせてくれますな。

いわゆるギークを演じているアンソニー・マイケル・ホールは、やはり同じ時期にジョン・ヒューズが作った『ときめきサイエンス』の主役なんですけど、ボクはあっちのほうが百倍大好きで何度も観ていただけに、こちらの作品でポロポロ涙を流された日には夢でも見ているような不思議な気分にさせられましたよ。どちらも同じジョン・ヒューズってあたりに、映画製作者の業を感じますな。


黒尽くめでゴス娘みたいなキャラを演じているアリー・シーディは当然『ショート・サーキット』の主役ですけども、今観直すと彼女がやたらと魅力的に思えますし、後半におめかしして美人になったというパートよりも、黒尽くめの前半のほうが断然可愛いというw


それにしてももう40代になってしまうと、彼ら彼女らの「青春の吐露」なんかが息苦しくて叶わなくなってしまうのが非常に哀しい。そういうのを直球で描けるジョン・ヒューズに感心してしまうほどです。もっとも、「そんなにセンシティブじゃない若者も大勢いるわい」と当時から思ってはいましたけどね。そこはそれ個人個人でまったく違うわけですからね、ある意味やはり記号として楽しむのが嗜みなんでしょう。

それはそうと、やっぱり普通のオクタにとって、この映画は当然『悪魔のいけにえ2』のポスターの元ネタとして知るのが常識ってことも憶えておいたほうがいいでしょうな。