懐古劇場その2『惑星アドベンチャー』
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大人になってからの方が分かるクオリティ
今回の懐古劇場は子供の頃夏休みの午前中に放送されいたのをたまたま観たこちら。『惑星アドベンチャー』
もともと日本未公開の子供向けSF映画ですが、1970年代後半のスター・ウォーズによって生まれたSFブームに乗っかる形で日本でも公開されたそうです。
今回日本版のDVDを観たのですが、実は以前出ていたVHSでも日本語吹替版だったので(主題歌が入っていたりする)、オリジナルバージョンは初めて観ることになります。
調べてみるとこちらの映画は、イギリスで公開された際にハッピーエンドになるように改変されているそうで、恐らく日本で公開されたバージョン(テレビ放送も、VHSも恐らくこちら)だったようで、かすかな記憶にあるものとはクライマックスからラストにかけて少し違っているように思います。
クライマックスの攻撃シーンではストックフィルムが何度も何度も繰り返し使われていたような記憶がありますし、ラストもサラっと終わった記憶があります。
オリジナルバージョンのラストは本来この作品が持っている「子供の観た悪夢」というルックスを見事に活写していてしびれますね。
大人になってから観直すと、美術監督出身で監督もしているウィリアム・キャメロン・メンジースの手腕がいかんなく発揮されているようで、スタンドーど・フレームによる画面の作り方が美術や構図なども含めて非常に美しい。先にも書いたように「子供の観た悪夢」が作品のテーマにもなっているように、映像自体がどことなくリアリズムとは別の方向性で構築されているのがよく分かります。
有名な丘の描写とか今観ても素晴らしい。
またストーリーとしても、当時の「侵略SF」にありがちな人間不信という側面は抑えられていて、年上の美人医者(とその恋人)が主人公の少年のいうことをすぐに信じてくれるあたりも大好きな要素です。
マニアの間では知らない人はいないような作品ですが、子供向け作品としてキチンと作られている作品としてまじめに評価されている部分もあるのだなと感じさせてくれました。
余談ですが、ボクはこの作品のリメイク作である『スペースインベーダー』が大好きで、当然のように観直したくなっていますw