『マシンガン・パニック/笑う警官』★★
監督は『暴力脱獄』のスチュアート・ローゼンバーグ
『ダーティ・ハリー』による刑事映画ブームの流れで製作された映画のようです。元々はスウェーデンの『マルティン・ベック』シリーズの『笑う警官』をサンフランシスコに置き換えた作品。
唐突に始まるバス乗客の大殺戮や序盤で展開される刑事たちの地道な捜査描写は非常に面白い。スチュアート・ローゼンバーグが狙っているドキュメンタリータッチは嫌というほど堪能できる。
ただ、いかんせん犯人探しのようなミステリーとしての展開も特になく、ケレン味のかけらもない終盤のカーチェイスなどではあくびが出てしまう。
中盤にも取ってつけたようなマシンガン・パニック(笑)が用意されているが、こちらは70年代初頭らしい容赦無い寒々とした描写が印象的。
笑う警官というタイトルなのに一切笑顔を見せないウォルター・マッソーは同時期の『サブウェイ・パニック』とはまったく違うアプローチの芝居で実に味がある。この3年後に『がんばれ!ベアーズ』に出るんだからさらにすごい。
相棒役のブルース・ダーンも『ブラック・サンデー』や『ファミリー・プロット』とは全然違う生意気な若造を威勢よく演じている。
ただ、チームで動いていた警察が後半ではまったく登場も活躍もしないのは明らかに変だし、前半ではまったく劇伴を流さないドキュメンタリックな演出が、後半では唐突にジャジーな音楽が挿入されたりする。
結局何がしたかったんだろうという印象しか残らない作品。
とは言え、子供の頃なら「雑」としか感じられなかったであろう70年代風のラフなカメラワークや同時録音によるリアルな治療チームの会話など、「意図的なんだよな」とわかって感心した場面も多い。