男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『小悪魔はなぜモテる?!』★★★1/2

小悪魔はなぜモテる?!(字幕版)
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これが未公開だなんて

一昨年のショウビズ(終わっちゃって悲しい)で紹介されて以来、奥さんと「公開したら観に行こう」と決めていた『easyA』

去年一年間、「『easyA』いつ公開するんだろう」と言い続けた結果、なんとDVDスルー。しかも邦題は『小悪魔はなぜモテる?!』ときた。いや、邦題云々というのは別にいいです。そんな映画は名作駄作問わずに山ほどあります。ただ、せめてBlu-rayでも発売して欲しかった。未公開の映画でBlu-rayってあんまりきかないですけどね。これはWOWOWでのハイビジョン放送を待ちましょう。

作品は予想通り傑作でした。アメリカのハイスクール物にオマージュを捧げつつ、実は結構深い道徳的なテーマもサラっと織りまぜており(しかもちゃんと笑える)、なかなか唸らせる脚本です。

一番巧いと思ったのは、登場人物のキャラが登場して数秒で把握できるところ。あれはシナリオもキャスティングも演出も実に見事。

キャスティングも、「この人どっかで観たなあ」という人が続出して、喉の小骨が大変でしたが、観た後に調べると「ああ!」と。

特にカウンセラーの人と、その旦那さんで理解のある先生の夫婦はふたりとも「どっかで……」がすごかったです。

Lisa Kudrowは『ロミーとミッシェル』の人。

Thomas Haden Churchは『スパイダーマン3』のサンドマン

でした。

エマ・ストーン演じるオリーブのキャラがとにかく秀逸で、常に「ユーモア」を忘れない切り返しが本当に「賢い」し、それぞれのエピソードが常に彼女の「優しさ」によって裏目に出ていくのもいい。また、両親のキャラクターも最高で、パトリシア・クラークソン(『アンタッチャブル』のネスの奥さん)が見せる寛容さと正直さ、また再婚相手で義父を演じるスタンリー・ツッチーは毎度感心させられる上手さ。特に養子の男の子に対するお約束のギャグも完璧。「(養子)だって誰がバラした!!」(黒人だからどう考えても養子なのに)。「賢い切り返しだ、さすがオレの血を引く娘だ」

端的に言って極めてスマートなシナリオだ。

元ネタになった『緋文字』に対する説明や茶化し(もちろんデミ・ムーアのやつに対する)も巧い。

加えて、キリスト教原理主義に対する皮肉も面白い。

全編にみなぎるジョン・ヒューズ作品に対するオマージュもたまりません。

ボクが一番気に入ったのは最後まで徹頭徹尾シリアスにならない事です。しっとりするシーンはあるけど、深刻になるシーンはまったく無いところです。これは相当根性の入ったシナリオではないでしょうか。青春学園モノであれば(ジョン・ヒューズ作品も)終盤でかならずシリアスなシーンがあるんですよね。いや、それはそれで嫌いじゃないんですけど、まあ、一種の中二病みたいなもんですからね。

そういう意味じゃクールな映画ですよ。


青春映画好きなら必見の作品です。


Easy A (Original Motion Picture Soundtrack) - Various Artists
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俺たちチアリーダー! (日本語吹替版)
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ウィル・グラック監督のデビュー作。


ステイ・フレンズ (字幕版)
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『easyA』に続く三作目。さっそく今度観てみよう。