涼宮ハルヒの詰合 ~TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」劇中歌集シングル~
やっぱり『恋のミクル伝説』は笑いが止まらない
こちらは『ライブ ア ライブ』の放送直後に発売されたマキシシングル。劇中でハルヒがENOZという架空のバンドの一員として唄う二曲と、ご存じ『恋のミクル伝説』が収録されている。
ENOZの二曲は劇中と違ってフルコーラスになっており、歌もハルヒのソロではなくバックコーラスが入っている。こちらも迫力たっぷり。本編で山本寛が宣言したとおり、「演奏の作画(特にドラム)を完璧に作画」されているのが圧巻。これも高畑勲が『セロ弾きのゴーシュ』のアニメ化で指の動きまでトレースした方向性に合致する。一曲だけでも凄いのに、二曲も演奏するなんてハッキリ言って狂ってますけどね。しかも二曲ともオリジナル楽曲ってのも凄まじい。
ただ、何度聞いても最後に収録されている『恋のミクル伝説』のフルバージョンに消し飛んでしまうのが恐ろしい。
『恋のミクル伝説』はテレビバージョンの一番だけでも破壊力が異常なのに、このCDに収録された二番がまた未曾有の無茶苦茶さ。
作詞の山本寛曰く『製作で疲れ切っているときに二番の歌詞を急に作ったから、”愚痴”になっている」。
出世の遅いアナタのパパも
元気を出して(飲みにいこう!)
ふしぎなパワーミクルビーム
かけてあげるわ未来にもあるのかな勇気と希望
もしもなかったら少し困るな
あの人もいつの日か私を捨てる
そんなのイヤよ、強く抱いてねCome On! Get chance!(かもんげっちゃーんす)
Come On! Get chance! Baby!(かもんげっちゃーんすべいびー)
TOBで株を買い占め
Come On! Get chance!
Come On! Get chance! Baby!
三年越しにMonkey Magic Tonight
仮にも「恋の」とか枕が付いている歌の歌詞なのに、
♪出世の遅いアナタのパパ
だの
♪TOBで株を買い占め
だの
捨て鉢すぎる歌詞が最高。
地味に
未来にもあるのかな勇気と希望
もしもなかったら少し困るな
あの人もいつの日か私を捨てる
のパートもツボ。
勇気と希望に対して、無くても「少し」しか困らないのかよとか、急転直下で「あの人もいつの日か私を捨てる」と私事を口走るあたりは正真正銘の電波。二番を聴いてこそ真価が分かる名曲だ。