男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『スポットライト 世紀のスクープ』★★★1/2

ラファロの醸し出す”最高級フランスケーキ感”

こういうのが観たかったんだ! という極めて個人的な嗜好に合致する映画でした。一方の雄である『ボーダーライン』とは別の狩場に舞い降りた極上の獲物。

Twitterからの採録

傑作。大好きな「余計なシーンがまったくない」力強い映画。スタンリー・トゥイッチに髪があります。

すべてのエレメントが申し分なく機能する強力な映画でしたが、ラストのテロップで静かに何枚も何枚も羅列される都市の名前の与えてくるインパクトたるや。監督が「映画」の力を信じているのが伝わってきて感動しました。

新しくやってきた局長を演じたリーフ・シュライバーが絶品。繊細極まる静かで抑えに抑えた芝居が、キャラを完全に観客に伝えることに成功している。「こいつは切れ者だ」と信じさせることで、観客を味方につける。

そして、受けて立つマイケル・キートンよのう。受けて、答えて、その呼吸。こちらも観客を完全に掌握して作品のイニシアチブをガッチリ掴んで譲らない。下まぶたをピクッと動かすだけで感情の流れを表現。こたえられない。

ラファロはハルクに変身できないという大きなリスクを背負いながら、カバンにメモ帳や書類を詰め込む芸を極めて魅せる。タクシーの止め方からしてサービス精神にあふれていて、静かなドラマにアクセントを添える。

スタンリー・トゥイッチも、アイデンティティーであるハゲ頭を封印してもスープを飲む時の冷ましかたや具材の配分、ベンチでの弁当の食べ方などなど少ない登場シーンですべてを持っていく。しかもトドメの子供達への声のかけかた!! 観客の心を貫く。


<追記>

フレが指摘していた「ラファロが差し入れのピザを食べる前に手をこすり合わせる芝居」は、『アイズ・ワイド・シャット』でトムが魅せた「俺も女とやったるぞ!」という気合の入った両手バチンと並ぶ名シーンでしたな。


もちろん冒頭での差し入れケーキに対しても、問答無用の最高級フランスケーキ感を魅せつけてくれていましたね!