男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『コップ・カー』★★★

もっと輪を小さくするんだベーコン!

Twitter採録

わたしの大好物である「子供が大変な目に遭うムービー」として全くブレのない快作ですが、観る前にみんなが抱いているであろうノーテンキなコメディ映画とは全く違いました。これは賛否が分かれる部分だと思いますし、満席の場内も終演後は変な空気にw

「子供が大変な目に遭うムービー」のクラシックである傑作『狩人の夜』に極めて近いタッチの映画で、製作陣の志の高さを感じさせます。アメリカ特有の荒涼とした景色や消失点のある一本道などのビジュアル面での美しさや、音楽や環境音の静かなサウンドのニュアンスもユニーク。


興行的な大前提であるケヴィン・ベーコンは、これ以上ないほど楽しそうに小悪党を演じていますし、ベーコンムービーとしてはパーフェクトな出来です。

悪ガキ2人組のほんとに「どうしようもねえなこいつら」感は近年の映画では稀なほど徹底しており、そこらあたりの感情移入を避けた「引いた」視線が、やはり事前の予測を裏切る感じでしょうか。ある種「淡々」と進行していくので、不条理劇としての側面も意識して作られているようです。

個人的な嗜好ですが、「大人がことごとく敵対してくる」感覚は最高で、キーとして出てくる「おばちゃん」なんか大笑いさせてくれました。あの魚とのズームによるカットバック!! そして、ドキューン!!

でも、諸手を挙げて賞賛はできないのよね。なぜかというと、観る前に期待していた破茶滅茶さや幼児性アクションは完成品のルックとも共存できると思うんですよ。実際ベーコンが車のロックを外そうと奮戦するくだりの執拗さは超爆笑だったわけで(段々輪が小さく!!)。3回も!!とw

なので、最終的な感想としては「もったいない」という感じですかね。でも、あの唯一無二な雰囲気は大好きです。

書いてて思ったけど、例のベーコンが懸命に車のロックを外そうとするシークエンスは、完全にお釣りが出るほど面白かったなあ。ああいうのが1つでもあるとやはりその映画は面白いと言わざるをえない。「もっと輪を小さくしろよベーコン!」という観客との一体感ねww で、3回もww