『マネーショート』★★★
『しあわせの隠れ場所』『マネーボール』と映画化された作品はどれもわたしの琴線に触れまくるノンフィクション作家マイケル・ルイスの「世紀の空売り」を映画化した作品。
今回もその「業界」について全く無知でもしっかりと楽しめる作品になっていましたし、何より当代随一の役者たちのアンサンブルドラマが堪能できました(最近そんなのばっかりなw)。
原作マイケル・ルイスは、わたしの中では鉄板ブランドです(読んだことないけどw)。なので、今回も「何の予備知識もない世界」を「何の予備知識もないまま」楽しむことができました。
同じくマイケル・ルイス原作の『マネーボール』を偏愛していて50回以上観てますが、まったくメジャーリーグの知識が身についていないのと同様、「マネーショート」も微塵も金融関連の知識は身につきませんでしたw
ただ、「大変なことが起きてるんだ」という事が伝わってくるのが大切。それはクリスチャンの視線の動きや、ブラッド・ピットのズボンの腰の位置や、カレルのストップモーションの顔や、プールのワニなどでグイグイ観客に知覚されるわけです。
ただ、『JFK』でオリヴァー・ストーンが成し遂げて以来誰一人同じ次元にたどり着けない、「クリエイティブスキルによって観客をパラノイアに陥らせる」ところまではいっていないのが残念といえば残念。まあ、目指すルックは違うので当然ですが。
世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)
posted with amazlet at 16.03.19