男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ザ・ウォーク』★★★1/2

観客を共犯関係にとりこむ手練手管の見事さ

23日公開だったのですが、フレと新年会をやろうという話をしていたら、待ち合わせる六本木のTOHOシネマズで「22日金曜日の0時上映というものをやるようです」という流れになり、「渡るしかない! このビッグワイヤーを!」ということで、前日(精確には当日ですがw)の深夜にゼメキスの最新作『ザ・ウォーク』を観てきました。

事前の予想を遥かに超える凶悪な映画でした……


Twitterからの採録

ゼメキスは常に油断の出来ない監督ですが、今回はその油断に誘導する手法を使って冒頭からクライマックスまで引っ張る。『フォレストガンプ』方式の明るく楽しげなスパイ大作戦風味で中盤までやるので、非常に楽しみながらも、その悪巧みを知っている人間としては「ゼメキスめ……」

明るく楽しげな『フォレストガンプ』が、突然ベトナムの戦場に観客を叩き込んだのとは違い、今作はクライマックスがすでにネタバレ=それが売りなので、巧妙にジワジワとテンションを張り詰めさせていく。文字通りワイヤーが張られるように。

白眉なのは、クライマックス導入部の夜の作業部分。警備員の目を盗みながらのサスペンスで、観客はスルッと緊張と狂気のサークル(奴の聖域)に取り込まれる。観客を「共犯」関係として強制的に巻き込むことで「でも、自分で好き好んでやってるんでしょう?」という隙を回避する。

ワイヤーを渡すための矢が見つからなくて、「裸の方が糸を感じやすい」と素っ裸になるくだりからの、よりもよってそこかよ! という縁のキワにヤジロベーのようにフラフラしてる矢を発見するあたりは、開いた口がふさがらないほど緊迫させる。

そして先述したように「放っておいても緊張する」綱渡りシークエンスに突入するわけですが……。まあ、アレですよw リアリスティックに依らず、ファンタジックなタッチを駆使して描くアプローチをとるわけですが、

綱渡りが緊張するのは生理的なものなので、あえてそこを煽ることはせず、言ってみれば「淡々」と描くんですが、このアプローチがよりその緊張感を増大させていて、ゼメキスてめえは……状態に陥るw当然「淡々と描く」ように見えるのは何重にも計算された演出によって成立している。

一緒に観ていたフレとも話していたんですが、やはり「殺意をもって殺しにくる映画」は最高なわけで、中盤までのコミカルな展開のサディスティックなまでのミスリードも含めて、ゼメキスは刃物のような凶器で観客を殺しにきてますなあ。

3D演出の見事さも文字通り突出していてw 奥行きを活かす高所感は言うに及ばず、ビル間の距離を視覚的に体感させることの緊迫感も凄まじい。そして、後処理ではない3Dカメラによって撮影されたと思われるゴードン・レヴィットの「顔面の立体感」がやたらと印象深い。

ジョセフ・ゴードン・レヴィットのフランス語訛りの「ノォォォォォォウ」が少し病みつきww 厳密には終わった後にフレが車の中で真似してたからなんですが、妙にツボにはまるww 今度から高層ビルを綱渡りするのを「延期」されそうになったら、叫ぼうww 「ノォォォォォォウ」

フレが言ってたんだけど、ゼメキスってニクソンがホント嫌いなのなww ザ・ウォークでも抜け目なく入れてたしw

個人的にニューヨークの夜景をWTCの最上階から眺めたのが人生最高の体験の一つでもあるので、ラストの黄金に輝いてるあたりはたまらないものがありました。