男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『マッドマックス怒りのデスロード』★★★★

《女性映画》《擬似家族映画》としてのデスロード

IMAXにつづいて、TOHOシネマズが誇るシネスコ巨大スクリーンのTCXと最新サウンドシステムATMOSが実装されたTOHOシネマズ新宿スクリーン9での鑑賞。

IMAXでは上下に黒帯の出るシネスコ上映でしたので、IMAXスクリーンのフル画面を堪能する事はできませんでしたが(それでも十分ド迫力)、TCXはもともとシネスコサイズのスクリーンなので、画面はぴったりみちみちです。ただし、スクリーンと客席が極端に近く仰角も多くとっているIMAXの持つ「体感の大きさ」とは違い、スクリーンの前にステージがあったりするので、画面の迫力はやはりIMAXに分がありました。まあ、もっとも前の席で観ればまた別でしょうけども。サウンドIMAX版が極上の上映だったので、甲乙はつけ難い。強いて言うならエンジン音などの鮮度や、重低音のまろやかさがATMOS版の方が良かったかもしれません。それよりも、解像感がスクリーン9の方が高く感じ、係の人に訪ねてみましたが、2Kか4Kかは分からないとのことでした。むうう。とはいえ、3Dで観るという前提ではダントツでIMAXの勝ちです。なぜなら構造上IMAXは画面が暗くなりませんが、通常の3D上映はどうしても暗くなってしまうからです。

まあ、そういうスペック的な物は今作では大きな違いではないでしょう。どちらで観ても最高です。

(あ、でも吹替版や通常の2D上映はエンドクレジットに日本語のオリジナルソングが入るんでしたね……)


こちらの感想では細かい部分を。

ジョージ・ミラーが嫌いなんだとしか思えないほど、『2』同様ほとんど活躍することなく、序盤3分でインターセプターは大破w あろうことか敵の車として執拗に追ってきます。メタ的に考えればインターセプターは『1』の象徴であり、あれからの脱却が『2』で、今作でも亡霊のように存在しているという感じでしょうか。マッドマックスといえば間違いなくソードオフショットガンとインターセプターですからね(だからサンダー・ドームは評価されない)。そのソードオフショットガンもちゃんと登場しますが、お約束のように「不発」www ソードオフショットガンは脅しにしか使えないのかよw

主人公を演じるシャーリーズ・セロンがとにかく素晴らしかった。片腕の義手のイフェクトとかも含めて大変そうでしたが、画面に映るだけでグイグイと引きこまれます。坊主にしようが油を塗ろうが片腕になろうが、すべて美しさを強調しているだけってのも鬼美人といえるでしょう。クライマックスの精神的蘇生に至るアップの3連発なんて大興奮でしたよ。主人公である証拠でもあるように、物語の後半で身体がボロボロになり、あまつさえ片目になってしまいます。これぞ主人公。

もちろんタイトルロールであるマックスを演じるトム・ハーディも魅力的。メル・ギブソンとはまったくタイプの違う線の太いマックス像を作り上げていますし、銃器の手慣れた扱いや、瞬時に状況を判断して最良の行動を起こすあたりの無言の手際の良さは「真似したくなる」芝居でした。願わくばドッグフードとは言わないまでも何か食べるシーンが欲しかったところですw

予備知識もなく予告も観ていなかったので驚いたのですが、この映画のメインモチーフは《女性》なんですね。シャーリーズ・セロンが連れて逃げる敵のボスの「妻たち」が画面に登場した時は本当に「ハっ」とするほどの美しさ。ジョン・シールの撮影も全編神がかったように美しい映像なのですが(なのにアクションのテンションはキレッキレって凄いよ)、この「砂漠に立つ薄着の美女」の図は絶品でした。

この女性たちに加えて、目的地の「緑の地」にたどり着くと、そこにはおばちゃんやおばあちゃんがバイクに乗って登場。彼女たちも加えての大所帯となって一路きた道を戻っていくプロットが何やら神話的でいいんです。「行きて帰りし物語」というような。

ボク個人としてはこの映画は「擬似家族」を描いていると思うのですが、同様に『ターミネーター2』も擬似家族でしたよね。その「家」の象徴として全編大活躍のトラック=その名も「ウォー・タンク」!=が敵の攻撃にさらされてドンドンボロボロになっていくのが愛おしいやら頼もしいやらで、これは同じく暗黒の「擬似家族映画」としても観られる「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の家みたいなもんですよね。もしくは『ゾンビ』のショッピング・モール。要するに主人公たちのいる舞台が外敵から常に襲撃を受けているという《籠城映画》として観ることもできますね。なので、クライマックスの展開なんかは涙なしでは観られませんでしたよ。

同じくトラック映画として『バトルトラック』なんかは無視することにして、名作『恐怖の報酬』への目配せも見逃せないですよね。夜のシークエンスで描かれるサスペンスはアクションのつるべうちのなかで緩急を生み出している名シーンでした。


そして、最後にこの映画一番の儲け役といいますか、映画史に残る名キャラクターといいますか、あのギター野郎(とそのリズム隊が乗るトラック)ね!!!



もうこいつら最高すぎて言葉にできませんw


しかも、ただのウケ狙いじゃなくて、ちゃんと戦士を鼓舞するという意味でも戦場では意味のある存在ですし、映画的にも敵の接近を象徴する効果を見事に生み出しています。なにより、クライマックスで、ボケーッとしているギター野郎が、再び唸りのリフをかき鳴らすあたりの燃えね!!! 挙句に最後のバトルで重要なコマになるしw ギターなんか3Dで一番ドアップに迫ってきますから!!



あ、最後に『1』のヒュー・キース・バーンがまさかの復活も衝撃でした。エンドクレジットで「うっそだろ!!!!!」ってw

ほんと「お疲れ様ッス!」としか言い様がない。

でも、「目ン玉」飛び出さなかったのは、唯一の欠点かもしれんなあ。


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サントラも激燃え!!!