男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『さよならゲーム』★★1/2

映画の作りそのものがマイナーリーグを体現しているような地味さ

と書くと批判として捉えられそうですが、実際はまったく逆。この作品は徹底的に(恐らく)意図的に「地味ぃ」に作っているフシがある。同時期に大ヒットした(その名もズバリ)『メジャーリーグ』とよく比較されるということですが、それはまったく正しくて、どっちが良いか悪いかではなく、アメリカの『野球』そのものを恐らくそれぞれの映画は体現しているのではないでしょうか。

タイトル通り『メジャーリーグ』はハリウッド映画の王道を行くような健全な構造を持っており、「笑い」「山場」「挫折」「アメリカン・ドリーム」「勝利」「栄光」どれもこれもが見事にブレンドされて大変楽しく作られています。そして、なによりクライマックスが非常に「燃える」(あのトム・ベレンジャーのホームラン予告に燃えない奴はおるまい)

対して、この『さよならゲーム』

こちらはマイナーリーグを舞台にしており、どこもかしこも地味な風景(そもそも観客が少ないw)そして、なによりチームの勝敗がまったくドラマに関係がない、というよりもどうなっているのかすら良くわからないw そのくせ変則的ではあるけれども、上記『メジャーリーグ』の持っているハリウッドの勝利の法則ともいうべき金科玉条は地味に揃っているw

こういった「ロマン」ともいうべきエレメントを、ことさら「地味」に描ききる作風は実にマイナーリーグを観戦しているであろう観客の心情を映画の観客に疑似体験させてくれているかのようです。事実ボクは殆ど野球を観たことがありませんが、それでもそれが伝わってくるw

観客に特にカタルシスを与えるわけでもなく、クライマックスがなんとケヴィン・コストナースーザン・サランドンの熱烈なラブ・シーンという大暴投というのも苦笑せざるを得ないシナリオも実に面白い。

マネーボール』の特典ディスクに収録されていた野球番組の特番の中で、みなが口をそろえて(ジョナ・ヒルだけはこれじゃなくて『メジャーリーグ』と言っていたのが爆笑)この映画をイチオシにしていたのが印象深かったので観たのですが、なるほど確かにこれはメジャーリーグのことしか(そして大多数の人がボクのようにメジャーリーグですら)知らない人には実感しづらい、マイナーリーグそのものを直球で描いている秀作なのでしょう。


監督・脚本のロン・シェルトンは他にもスポーツ映画を幾つか手がけているので、そちらも観てみたい気にさせられます。


しかし、当時の飛ぶ鳥を落とす勢いのケヴィン・コストナーが「歳を食い過ぎている」という設定になるほど、やはりスポーツ選手の全盛期というのは短いんだなと驚かされます。今観るとケヴィン・コストナーなんて若々しくて(そもそも髪が自然にフサフサだし)違和感バリバリなんですけどね。実際にはスポーツ選手としてはベテランになっちゃうんでしょうね。


それにしても、ヒロインを演じているスーザン・サランドンにビタイチ魅力を感じられないのが辛かった。あくまでも個人的な趣味ですけど、それだけで★がいくつも下がるのは辛いw