男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『キャット・ピープルの呪い』★★★

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「少女映画」の傑作

世の中にそういうカテゴライズがあるのかどうか知らないけれど、思春期以下の少女を主人公にした映画が多くあるのは事実でしょう。そして、本作は前作『キャット・ピープル』の続編という衣をまといつつ、実際にはその「少女の幼少期特有の心理状態」を幻想的なホラータッチで描くことに成功した傑作。

途中降板した監督の後を引き継ぐ形で実質的な監督デビューを果たすことになったロバート・ワイズ。その後のフィルモグラフィを観れば納得の「世界一の職人監督」とでもいうべき彼の手腕が冴えに冴えている。前作の主人公とヒロインの間に生まれた少女が主人公となり、友だちもできず馴染めず空想に耽る「変わり者」のヒロインが辿る不思議な出来事が描かれる。

唐突にフレームにインしてくる女性の手や、庭が突如闇夜に変貌していく効果など、今観てもハッとなる演出が随所に現れる。中盤からはクリスマスが舞台となり、見事な雪の描写と相まってその幻想的なムードは半端ではなく美しい。現代にも通じる「思春期未満の少年少女の心理」を繊細なタッチで描くシナリオも秀逸。タイプは違うが『狩人の夜』と同様、「子どものみる悪夢」を実写として活写し得ている稀な傑作ではないでしょうか。