男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『青い体験』を池田昌子さんの吹替で30年ぶりに観ました。

当時も今も後半は可哀想で観ていられない

ボクは子供の頃から今でもメーテルが大好きなので、イクォール池田昌子さんも大大大好きです。

で、この『青い体験』も初めて観たのがテレビなので(というよりも、テレビ以外で観たのはこれが初めて)、当然今回の池田昌子さんの吹替で観ましたよ。この池田昌子さんの吹替収録が全面に押し出されたパブリッシングはまったく正しくて、恐らくこの収録がなければ日本人のほとんどの人間は購入を見送ったことでしょう。

今回シネスコサイズのノートリミングで観たわけですが、ヴィットリオ・ストラーロが撮影という先入観を差し引いても、絵作りがとても丁寧で美しい。レストアの恩恵もあって、ラウラ・アントネッリネグリジェの後ろ姿などため息が出るような光の加減だ。また「それ必要?」としか言い様がないほど流麗なクレーン撮影によるカメラワークも秀逸で、池田昌子さんの吹替や子供の頃の思い出を抜きにしても楽しめる作品でした。

そして、今回観直して、子供の頃も「後半が可哀想で観ていられない」という事を思い出しました。

まず、ボクは女性が可哀想な目に遭うのが苦手なので、後半アンジェラがニーノ(主人公のクソガキ)の愛憎入り交じったイジメにずっと耐えぬく姿がキツイ。しかも声が池田昌子さんなので、悲壮感がより際立つんですよ。クライマックスの雷雨の夜のシーンで、強制ストリップをさせられるシーンなんて、池田昌子さんに「あんたなんか殺してやる」「いい子だと思っていたのに」などなどの嘆きを連発させる。まあ、ブチ切れて哄笑を上げ始めてから勢いでニーノのDTを奪う騎乗位のシーンなんかは池田昌子さんの喘ぎも堪能できてたまらないんですけどね。思えば当時の吹替はブレスからなにからほとんどすべて声優さんが吹き替えて、オリジナル音源を使うってことはあまりなかったですよね。

それでも、粘着質に執拗にいじめられるシーンは、その手の趣味のないボクには非常に辛い。

池田昌子さんの様々な珍しい芝居を聴けるという意味では相当な価値があるということは差し引いても、観ていて辛い映画です。

実は「筆おろし映画」としてもかなり歪といいますか、結果的に筆おろしされますけど、本来我々子どもが望んでいる「筆おろし」ってのは、相手の女性もまんざらじゃなくて、哀れみと愛情の入り混じった「ご褒美」のような「これっきりだからね」という特別な感じじゃないですか。なのに、この映画ってイビリにイビってついにブチ切れての「勢い余った」感覚なんですよね。まあ、それがこの映画の印象深いところなのかもしれないですけど。


ローマの休日』やメーテルなどに代表される、「お淑やか」や「謎めいた」イメージの美女声芝居ばかりが池田昌子さんの持ち味だと思われないためにも、こういった作品での収録はどんどん勧めて欲しいですね。

願わくば「荒っぽい池田昌子さん」と「清楚な池田昌子さん」を同時に堪能できる『マイ・フェア・レディ』の吹替収録を是非とも実現して欲しいところです。今度のアニバーサリーエディションではどうなるんでしょうかねえ。