男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ウォルト・ディズニーの約束』★★★

皮肉や毒舌は大好きなユーモア

大好きな『しあわせの隠れ場所』の監督脚本ジョン・リー・ハンコックの新作なので劇場に行きたかったのですが、観そびれてしまったのでブルーレイでの鑑賞。

マイケル・ベイの映画へ無駄にハイクオリティの映像を提供しているジョン・シュワルツマンの撮影が相変わらず美しく、観ていてうっとりしてしまう。

ジョン・リー・ハンコックは今回脚本に参加していませんが、過去と現在(と言ってもメインとなる1961年も50年近く前ですが)を交錯させる作劇を手際よく嫌味なく演出していて安定の作り。

偏屈な主人公のトラヴァース夫人を魅力たっぷりに演じるエマ・トンプソンは当然最高だし、運転手の役で美味しいところを持っていくポール・ジアマッティも(キャスティングされた時点で先が読めるという野暮はおいておいて)好感が持てる。

脚本家を演じているブラッドリー・ウィットフォードは『ザ・ホワイトハウス』からのお気に入りだし、シャーマン兄弟を演じているジェイソン・シュワルツマンなんか途中まで気付かなかったぐらいの溶け込みぶり。

メリー・ポピンズの造形のヒントとなるおばさんを演じるレイチェル・グリフィスという女優さんも立ち振舞が実に素敵で(あの逆光で登場するシーン!)、お母さん役のルース・ウィルソンも困った夫を持った奥さんの風情を登場した瞬間から感じさせてくれるナイス・キャスティング。

そして、コリン・ファレル。『クレイジー・ハート』でもグッと来るキャスティングでしたけど、彼はどう考えても脇で映えるタイプ。主役を演じるには眉毛が濃すぎる。この映画でもキーになる主人公の父親役を情感たっぷりに演じている。


でも、やっぱりトム・ハンクスだよね。トム・ハンクスはほんとにいい。ウォルト・ディズニーを演じるなんて誰もが納得できるもんね。『プライベート・ライアン』に続いての「セイビング映画」となる本作ですが、同様に邦題からは「セイビング」はなくなり、そして、それが非常に重要だという点でもトム・ハンクスの「セイビング二部作」として論じてもいいでしょうね。

最初、「なんでこんなタイトルなんだろう?」と思ったら、作品をこれだけ深く表しているタイトルだったとはね。


もっとも、『ウォルト・ディズニーの約束』というアコギな邦題も悪くはないんですけどね。でも、ディズニーのディの字も使わない原題はやはり潔い。


それにしても、『恋愛小説家』と並ぶ「偏屈小説家映画」としても大変楽しい映画で、よくもまあこれだけ他人を不愉快にさせるもんだと思いつつ、個人的にも皮肉や毒舌は「持ち芸」の一つでもあったりするので、心のメモ帳が活動しまくりでしたよ。泣いているのを慰められてるのに「アニメが酷すぎて」ってな。「素直な対応」なんて創作者としては窒息を意味するからね。(ミサワ顔で)


当たり前のように観たくなるよね。


しあわせの隠れ場所 [Blu-ray]