男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

プログラム53『The Way, Way Back』(邦題『プールサイド・デイズ』)★★★★

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久しぶりに心わしづかみの青春映画

評判がいいので日本語が収録されたアメリカ盤Blu-rayを購入しました。なんと4.99ドル(500円ぐらいw)でゲット。日本でも単館でちょっとだけ公開したようなので、DVDで遠からず発売されるものと思います。


個人的に「内向的で引っ込み思案で口下手で小心者な子供が友達(もしくは理解者)を得て成長する」青春映画が大好きです。

その代表格はやはり愛してやまないトニー・ビル監督作の『マイ・ボディガード

本当に困るんだけど、一応書いておくとトニー・スコット監督とデンゼルの方じゃない(邦題考えたやつ告訴モンだよ!)。こちらは原題も『MY BODYGUARD』ね。


で、今回観た『The Way, Way Back』(邦題『プールサイド・デイズ』)は、思いっきりこのカテゴリーに属する久々の傑作だったんです。

監督と脚本は『ファミリー・ツリー』の脚本を書いたナット・ファクソンとジム・ラッシュというコメディアン出身の二人組(この二人本編にも役者として登場していい味出しまくりでした)。特典のメイキングでも「脚本を書いていて何度も涙が出てきたよ」と冗談交じりで言ってましたが、当然ふたりともこの主人公に自己を投影せざるをえないような青春を送ってきたのでしょう。

あらすじは極めてシンプル。

離婚した母親と一緒に、彼女の新しいボーイフレンドの家族とそいつの別荘がある避暑地に行った主人公が、泣きっ面に蜂としか言いようのない日々を送っていたけど、フと立ち寄ったウォーターアミューズメントパークでアルバイトをすることになる。

っていう話。

とりあえず、母親の彼氏を演じるスティーヴ・カレルが安定の「下衆」野郎を見事に好演。もう冒頭の主人公との会話一発で「こ、こいつは……」と観客一同のヘイトを一身に集める素晴らしさ。本編を通じても終始ゲス野郎ブリを披露して、カレルの芸域の広さを堪能させてくれます。個人的にもっとも嫌いなタイプの「大人」をこれだけ緻密に描かれると、そりゃもう後述する「理解者」への肩入れは充分過ぎるほどです。

で、偶然知り合った「理解ある大人」を演じるサム・ロックウェルがもう最高なんです。基本的に常にロックウェルは最高ですが、今回ほどロックウェルの持ち味が遺憾なき発揮されたキャラもないんじゃないでしょうか。監督の二人もロックウェルが第一候補だったそうで、出てくれて本当に嬉しかったと言っていました。サム・ロックウェルは「大人」としてはかなり最低の部類に入る「大人になりきれていない」大人なんですが、主人公に対する理解と包容力が半端じゃ無いんですよ。しかも、全然押し付けがましくない。田舎で出会ったら仲良くなってしまいそうというリアリティが素晴らしい。

主人公と、この二人の「大人」の三角関係がこの「成長物語」を非常に納得力の高いものに昇華させています。


映画史に残るような作品ではないかもしれませんが、子供の頃にテレビとかでフと観てしまったら毎日観てしまうような魔力を持っているという意味でも、21世紀の『マイ・ボディーガード』と言って言い過ぎではないでしょう。


オススメです。