プログラム43『イル・マーレ』★★★1/2
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まさかの藤子・F・不二雄タッチのSF(すこし・ふしぎ)なロマンス
結論から言うと、ボクはこの映画が非常に気に入りました。
100%サンドラ・ブロック目当てで借りてきたのですが、まさかの大当たりに驚いています。
この映画の事前情報といえば、「ポストが出てくる」「韓国映画のリメイク」「シェルドンがペニーに無理やり見せられた映画」ぐらいです。
要するに「まるっきり期待せず」に観始めたのです。可愛いサンドラ・ブロックが観られればそれで元は取れるというぐらいの気持ち。まあ、本来映画なんてそんな動機で十分なんですが。
それがもう観始めたらすっかり夢中になってしまい、主人公二人の運命にニコニコハラハラ終始引きこまれてしまったのです。
事前情報がまったくなかったために、この映画が一種の時間SFであることに気づいた瞬間の驚きときたら。しかも、それがガチガチのSFではなく、あくまでも物語のギミックとしてサラっと扱われる感じが、実に藤子・F・不二雄のSF(すこし・ふしぎ)な感覚なんですよ。
物語としては、湖畔の家から引っ越すサンドラ・ブロックと、その家に引っ越してくるキアヌのふたりを描写するところから始まるのですが、サンドラが後の住人に「手紙」を残したところ、当然それを引っ越してきたキアヌが受け取るんですね。ところが、その手紙の内容には少しだけ意味不明なことが書いてある。キアヌもサンドラもそれに段々気づいてくると、サンドラがキアヌの後にその家に住んでいたことが分かる。2004年のキアヌに、2006年のサンドラが出した手紙がポストを経由して届くんですね。
最初は「たった2年の時差?」と、どうやって話を転がすんだろう? と不思議に思っていたのですが、この「2年」というちょっとの時間軸のズレが絶妙な「すこし・ふしぎ」加減なんですよねえ。そして、「ポスト」というガジェットがなんとも言えない「ふしぎ」な感じを醸し出しています。タイムトラベルとかのご大層な大仕掛はないし、当然「どうしてそうなったのか」なども一切説明されません。「そんなことって」という疑問を抱きながらも、2年の時を超えてふたりのロマンスが進んでいくんです。
しかも、同じ場所のシカゴにお互い住んでいる(住んでいた)ことは分かりますし、たったの2年ですから観ている方はソワソワしてしまうんですね。その「近くて遠い」感覚のヤキモキさはとにかく気持ちいい。
クライマックスではまさかのハラハラドキドキを味わえるのも驚きで、本気で「あああ、なんとか、おねがい!」と画面にお願いしていましたよ。あはははは。
もちろんサンドラ・ブロックが可愛いというのもありますし、キアヌが「意外にちゃんと芝居をしている」ことにも驚かされたりした底上げもあるんでしょうが、単純にすごく良く出来た映画だとボクは思いました。シカゴの美しい風景と相まって、この映画の世界にいつまでも浸っていたいと思える素敵な映画でした。
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オリジナルの韓国版も観てみようかな。