男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『鍵泥棒のメソッド』★★★

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広末涼子が可愛い

内田けんじ監督待望の新作ということで、劇場で観たかったんですが、いつのまにやら見逃していました。まあ個人的によくあるパターン。

で、ブルーレイが出たので「観るぞ!」と決めてからもすでに4ヶ月以上経っている始末。

結論から言うと、「ちょっととっちらかってませんか?」という感じ。

内田けんじの前二作で特徴的だった、パズルのピースが次々とハマっていき、「あれが伏線だったのか!?」という練りに練られたシナリオの雰囲気は少し奥に引っ込んでおり、どちらかというと定番と言ってもいい「とりかえばや」系のお話をこれまた定番のロマコメ風に仕上げてある。ちょっと引っかかったのは、内田けんじタッチともいうべき伏線回収の部分が前二作とあまり変化が見られなかったことです。もちろんその部分をロマコメタッチに変奏したという目論見は買うのですが、いかんせんあまりうまく溶け込んでいない印象を受けました。

ただし、料理の組み合わせがあまりうまくいっていないというだけで、広末涼子のキャスティングやキャラクター設定、そして香川照之の(意外と)うまくいっている芝居の功績もあって、ロマコメ部分の楽しさはなかなかのものでした。まあ、全体的に照明が暗かったりするのは変えてもいいんじゃないのと苦笑しましたけど。(あれが内田タッチなんでしょうけどね)

転じて堺雅人側のパートは総じて面白みに欠けますし、彼自信も「いつもの」芝居にしか見えないのが残念。

タイトルにも入っている「メソッド」は、アメリカとかでもてはやされる「メソッド演技」からきているんですが、香川照之堺雅人がそれを云々する部分は大笑いしました。個人的にはもちろん香川照之の論のほうが正しくて「内面なんかどうでもよくて、そう見えるかどうかだ」ってやつです。

内田監督の意見とも思えて心強かった。

その点一番の儲け役はやはり広末涼子なんじゃないでしょうか。彼女の最大の強みである顔面の良さを活かし、性格付けも男好みに仕上げた功績は大きい。「広末涼子が恋人がいないなんてどう考えてもおかしいだろう?」という日本中の疑問を(一応)回避しているのは上手い。まあ、個人的には「それでも、ああいったのが一番モテんだよ」という気もするんで、ファンタジーですよねw 「思いません」ってのはいいよねええ。


荒川良々演じるヤクザやその取り巻きも内田タッチのド定番ですが、荒川良々がやるならもうちょっと笑いがあってもよかったんじゃないかなとも思ったりします。普段そうは見えない人がヤクザやるっていうのも最早使い古された手ですし。


内田監督の新作としてはちょっと物足りないんですが、ああいった練りこまれたシナリオというのは日本では貴重だと思うので、やはり次回作も期待したいところです。