男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

プログラム39『フライト』★★★1/2

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ゼメキスはやっぱり信用できる

ロバート・ゼメキスが『キャスト・アウェイ』以来の実写映画ということで、ファンとしては劇場で観ておきたかったのですが、つい観逃してしまったのでブルーレイが楽しみでした。

というわけでシネスイチ板橋での上映とあいなりました。最近のゼメキス映画なのでシネスコだしね。

宣伝だけを観ると航空機事故を奇跡的に防いだデンゼル・ワシントン機長を中心とした原因究明系のサスペンスに思えるけど、実際には「デンゼル・ワシントン機長が奇跡的な操縦で乗員を救ったのに、それが原因でアル中&ドラッグ中毒が発覚してしまってさあ大変」という映画でした。基本的なシナリオがブラックジョークという体裁なんですが、これを極めて「真面目にドラマ化する」というアプローチで演出したゼメキスが大変興味深い。

だって、脚本家時代のゼメキスなら、この脚本をそのままブラックジョークとしてわかりやすく演出したハズだと思うんですよ。実際そういう映画を初期にたくさん作ってきているんですから。それこそ傑作「永遠に美しく」みたいに。(『永遠に美しく』はゼメキス脚本じゃないですけどねw なんとデヴィッド・コープなんすよ)

ところが、(一応)オスカー受賞監督っぽく、ど真面目に作っているんですよね。もちろんアル中&ドラッグ中毒であるがゆえに、その覚醒&鋭敏化した感覚によって「シミュレーションしても誰も成功しなかったアクロバティックな飛行方法で大事故を未然に防げた」という皮肉なからくりを切れ味のある笑いで演出してはいるんですが、基本的には「真面目」。

じゃあ、「だったらゼメキスが作らなくてもいいじゃないか」となりそうなもんですが、そこはそれスピルバーグとの師弟関係からも分かるように、「やるときは無遠慮にやる」男なんですよね。『キャスト・アウェイ』でもみせた墜落シークエンスの緊迫感を、この作品でもキチンと披露してくれます。

それぐらい冒頭部分の「飛行機事故シークエンス」は最高でした。

『ザ・グレイ』でカーナハンが披露した「一緒にその飛行機に乗っているとしか思えない」迫真性には一歩劣るとしても、あの文字通りアクロバティックな危機回避飛行を体感できるというのは、なかなかお目にかかれない代物。ドン・バージェスによる「ほぼ垂直落下している」機内をキチンと体感させる撮影技術も絶品。

中でも素晴らしいのは終始冷静な口調のデンゼル・ワシントン。事故直前まで居眠りしていたのに、覚醒するやいなや矢継ぎ早に指示を出しながらも、管制塔からの指示に「サンキュー」も欠かさないプロぶり。あれはしびれましたよ。吹き替え版の小山力也が毎度おなじみのジャック・バウアー声で焦りちらしているのと対比すれば、いかにデンゼル・ワシントンの芝居が素晴らしいかがよくわかります。

何度も何度もその10分だけを繰り返し観てしまう中毒性がありました。

というわけで、ゼメキス版『エアポート2013』を期待すると肩透かしをくらいますが、ドラマ部分もしっかりと楽しめるという意味では、冒頭部分の墜落シークエンスだけでも『エアポート80』の百倍は楽しめるのでお勧めです。

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