男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『キャビン・イン・ザ・ウッズ』(邦題『キャビン』)★★★

ユナイテッド・シネマ豊洲スクリーン3にて鑑賞

<ネタバレだらけなので未見の方はご遠慮ください>


実はネタバレそのものを吹っ飛ばす快作

この映画はどういう道筋で観ても恐らく二つのゴールにたどり着くと思う。

1.「なんかすげえ面白かった」

2.「しょーもない」

これは残念ながらどちらも正しい。ただし、みんなの大好きな『バトルシップ』も★★★だったように、僕も結論から言うと「1」でした。

で、その道筋の方ですが、

1.子供の頃の刷り込み時期に観る
2.ホラー映画をはじめとしたジャンル映画を山ほど観てからこの映画を観る
3.「なんかそういうのも含めてメタ的な映画らしいよ」という予備知識を持って構えて観る

大きく分けてこの3種類でしょう。

実際には試写会やアメリカでの初公開時に予備知識無しにこの映画を観られた人以外は大体「3」に属すると思うんですね。よくあるジレンマですが「ネタバレ厳禁」とかそういうアオリも実は「ネタバレ」しちゃっているんです。「大どんでん返し」や、有名な「この映画のラストは口外しないでください」なども、全部実際には「ネタバレ」に含まれると思います。

ジャンル映画との一番幸せな出会いは当然「1」なんですが、これはまあ時の運としか言いようが無い。ですが、この映画は厄介なことに作り手が「3」を想定して作っているところ。

「ネタバレ厳禁」という割には、仕掛け自体は映画の冒頭から割れていて、突拍子もないタイミングで出てくるタイトル(本当に突拍子もないのでビクっとなること請け合い)の時点で、作り手はもう完全に観客の対象を絞っているんですよね。

それも『バタリアン』などのように再構築する事よりも、さらに全く別の視点で作り出したメタフィクショナルな視点。

しかも、「観客」とうい存在そのものに対する、いわゆる「第四の壁」を題材に用いているのか? っていうような、ちょっと高尚ぶっているような「フリ」そのものも、実は「構成要素」の一つに過ぎなくなってしまう。

そうして迎えるクライマックス。このクライマックスでの(意味通りの)「カタルシス」はなかなか他の作品では味わえない。まあ、個人的には「掟破り」だとは思うんですよね。でも、そこはジョス・ウィードンが絡んじゃっているので「映画」としての見せ方や持って行き方が実に申し分ない。

単純に「面白い」


ただ、ひとつもったいないなあと思ったのは、谷に設けられた「見えない壁」の使い方。あれってそもそもゲームの(悪しき)お約束だし、序盤でバラされているから衝撃なんて全くないし、言ってみればあれだけ「浮いてしまっている」んですよね。あれは要らないんじゃないかなあ。まあ、『悪魔の追跡』に敬意を表したバイクを出しちゃったからには回収しないといけないのは分からなくはないんですけど。


もっとも、個人的には「ホラー映画は怖くないと意味が無い」と思っているんで、正直この手の映画はあまり歓迎できないんですけどね。