男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ムーンライズ・キングダム』★★★1/2

ウェス・アンダーソン監督の語り口

ウェス・アンダーソン監督が好きです。とかいいつつ、実は『天才マックスの世界』『ロイヤル・テネンバウムズ』以外の作品は観ていません。なんだ、そりゃ? と言われてもごもっともとしか言いようが無いんですが。

でも、ウェス・アンダーソン監督の作品が大好きです。好きでも、ついつい先延ばしにしてしまっている映画ってありますよね?

今回の『ムーンライズ・キングダム』は、題材が「子どもの駆け落ち」「島が舞台」という事前情報で「観るの決定」という感じでした。なぜかというと、個人的に「子どもがメインキャラクターの作品」というのは命題といってもいい物なので。「島が舞台」というのは、明らかにウェス・アンダーソンと相性が良さそうと思い、事前にテレビで映像を観た限りでもそれは間違いが無さそうだったから。

というわけで、本日早速観に行って来ました。

これが予想通りジャストミート。まさにOh! niku!ってなもんで。

ウェス・アンダーソン監督は大人を描いていても結局は「大人になりきれいない子ども」を描くのが大好きなんじゃないかなという思いを改めて強くしました。

逆に言うと未見の映画にはどうもそういう部分が欠けているような気がしてイマイチ踏み出せない(言い訳)。

ウェス・アンダーソン監督の魅力はズバリその「語り口」でしょう。一発でどのカットを観てもウェス・アンダーソンだと分かる映像が連発します。カメラの高さは徹底的にアオリでも俯瞰でもない真正面。そしてすきあらば「横移動」「縦移動」する。この「横移動」「縦移動」もステディカムを使うような動きではなく、ガッチリとレールを敷いた移動撮影。クレーンを使った縦移動。ズーミングも恐ろしく機械的だし、フレーミング絵ハガキかよと突っ込みたくなるような物ばかり。それを何度も何度も反復して独特の「語り口」を生み出している。

これが非常に観ていて気持ちがいい。

常々言っているように(書いているように)創作作品はすべて「語り口」が一番重要でして、そういう意味でもウェス・アンダーソン監督の確固たる語り口のブレなさは観ていて非常に安心感と頼もしさを覚えます。

で、「語り口」が上等なら、どんな物語や題材でもいいのかといえばそうでもなくて、やっぱりどうせ観るなら「面白い物語や題材」がいいわけで。

今回の「ムーンライズ・キングダム」はその点個人的嗜好にもマッチしますし、キャスティングも抜群に好みが揃っています。

今回特にブルース・ウィリスが良かった。島に独りの警官という設定や、あの諦観漂うお馴染みの顔面から醸し出される何ともいえない風情と、それを裏切る行動や決断に胸が熱くなりますし説得力があります。基本的に省エネ芝居の人ではありますが、適材適所で使われるとやはり魅力爆発なのがスターの凄さでしょうか。


あ、そういえば今年劇場で観た映画は今のところ二本ともブルース・ウィリスが出演しており、恐らく次に観る映画が『ダイ・ハード・ザ・ラストデイ』になりそうなので、何と2013年は3本連続でブルース・ウィリスを映画で観るハメになってしまいそうです。いや、嫌いじゃないからいいんですけどね。