男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ダイ・ハード4.0』野沢那智吹替版で観ました

やっぱり野沢那智マクレーンは一味違うね。

劇場で観たときはまったく面白くなかったのですが、今回野沢那智吹替版がBSで放送したので録画して観ました。

今年の夏の思わぬ拾い物だったリメイク版『トータル・リコール』が面白かったので、監督のレン・ワイズマンのことを見直していたところです。この作品も『ダイ・ハード』シリーズというよりも、独立した作品として初見よりもはるかに楽しんでしまいました。

劇場で観た時も思ったのですが、この映画はマクレーンが主人公と言うよりも、彼に助けられて巻き込まれるように行動を共にすることになるハッカーのオタク青年ファレルが主人公でしょう。家の中で延々PCをいじくっていた彼のもとに突然現れるハゲの親父と殺し屋集団。あれよあれよとワシントンやウエスト・バージニアなどなどのアメリカ北部を冒険することになるわけですから、これはもう立派なビルディングス・ロマンの一種とみていいでしょう。ファレルを演じているのはジャスティン・ロング。『ギャラクシー・クエスト』で宇宙の危機を救うことになるオタク少年を演じて、こちら側の人間に感涙の涙を流させたあいつです。

レン・ワイズマンの「とにかく移動撮影」を鉄則とするアクション・シーンは対象とは反対方向に高速で移動させる相対的な爆速感が凄いんですけど、劇場で観ると「よくわからない」という弊害がw ところがテレビ画面で観ると意外や意外にその流麗なカメラワークが堪能できるのが皮肉。

全体的なルックスが明らかにダイ・ハード感不足なのに対して、それを補うようにマルコ・ベルトラミの音楽が随所にマイケル・ケイメンダイ・ハード節を鳴らしてくれて微笑ましい。ちょっとした音楽で異様にダイ・ハード観ている感じがするのは、やっぱりマイケル・ケイメンの功績が大きかったんだなと思います。

そして、ブルース・ウィリスが大事件に遭遇してもまるで動揺しない、諦観にもにた境地でマクレーンを演じていますが、吹替の野沢那智はぶっちぎりでマクレーンらしさを全開にしているのも功績が大きい。おそらくウィリス本人よりもマクレーンらしいと言える。残念ながら他界してしまったので、今度の『5』ではもうその名吹替が聴けないと思うと悲しすぎます。

アメリカ全土を揺るがすようなサイバーテロらしいんですが、そのスケール感の小ささは驚くほどで、『ダイ・ハード』という作劇に向いていないにもほどがある。ただ、上述したように、これは『ダイ・ハード』シリーズというよりも、ファレルの冒険譚として楽しむのが懸命な見方といえるでしょう。

それにしてもクライマックスになるにしたがってスケールが小さくなっていくのはどういうことなんだよ?


説明の必要がないアクション映画の金字塔。この映画を超えることは恐らくムリなんじゃないかとすら思えるほどの完成度を誇る傑作。