『ハウリング』を久しぶりに観直しました
今観ても結構怖い
久しぶりに観直しました。『ピラニア』に続くジョー・ダンテ監督、ジョン・セイルズ脚本、マーク・ゴールドブラッド編集、ピノ・ドナジオ音楽チーム。今回はそにれ加えて、ロブ・ボッティンが特殊メイクで加わっての大暴れ。
今観ると、ディー・ウォレスが静養と称して田舎のコロニーに連れて行かれる展開に気味悪さがあふれていていい。「田舎に行ったらえらい目に遭う」パターンの亜流とも言えるけど、もっと古典的な怪奇映画の流れといったほうがいいかもしれない。通りすがりでなく、「静養」という名目で主人公がそこへ向かうのもそれらしい。
ニュースキャスターであるヒロインの同僚として登場する夫婦が都会に残って段々と(結構雑なんだけどw)狼男の謎に近づいていく展開が絡み始めて、クライマックスになだれ込んでいく展開は燃える。
同僚の妻テリーがドンドン追い詰められていくシークエンスは傑作で、昼間から小屋の中で雪隠詰になった上に、いよいよロブ・ボッティンの特殊メイクによる「切断された狼の手が人間の手に戻る」シーンが強烈。空気を送り込んでブクブクと皮膚の下で蠢く感覚が実に生々しくて、今観てもCGではとても表現しがたい実体感がある。
そして、いよいよディー・ウォレスの眼前で披露される「変身」シーンの破壊力は今観ても強烈。前半の妙なメロディから一変しておどろおどろしい音楽をあてるピノ・ドナジオもいい。ここでも皮膚の下がボゴボゴと蠢くイフェクトが生理的に気持が悪い上に、禍々しさも合わさって、ショック状態で身動きが取れなくなるディー・ウォレスの気持ちが体感できる稀有なシーンだ。
車での脱出行でも次から次へと襲ってくる狼男たちの凶暴さがたまらない。
特にキーキャラクターである連続殺人者エディのしつこさは完全にギャグになっていて、ジョー・ダンテのブラックユーモアが炸裂。硫酸かけられたドロドロの状態にも関わらず「見たいだろう」といって再び変身をはじめるシーンは今観るとダンテの意図がよく分かる。ピノ・ドナジオの音楽も途中でブツっと途切れて面白い。
そして、ラストの涙の哀しさは今観ても泣ける。
あと、吹き替え版を最初に観ていたので、「レア」は心の中で「なぁま」に変換されましたけどね。
それにしてもジョー・ダンテは不思議な監督だ。やっぱりこの後『グレムリン』に起用されたのは抜群にいい流れだったんだよね。スピルバーグはいい仕事をしたと思う。
The Howling
Pino Donaggio
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